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外来

2017 ABC-WIN Seminar 脳動脈瘤塞栓用最新器材ニュースNo.2017-2 WEB【医療関係者向け】

2017年ABC-WIN Seminar:15-20 January, 2017 Val d’Isere, France No.:2017-2 脳動脈瘤塞栓用最新器材ニュース WEB

http://www.abcwin-seminar.com/programme

WEB(Flow Disruptor)

論文)Thrombectomy 6 to 24 Hours after Stroke with a Mismatch between Deficit and Infarct: Nogueira RG., Jadhay AP.,Haussen DC.等 the DAWN Trial Investigators.
November 11,2017 DOI: 10.1056/ NEJMoa1706442

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1706442#t=article

破裂小動脈瘤に対して

オランダのVan rooij らの報告が目を引いた2)
かれらはWEBでの瘤内塞栓を経験してゆくうちに、WEB留置に適した動脈瘤が判断できるようになってきたので、適応を広くして、小さな破裂動脈瘤に対して、塞栓術を行ってきた。
その結果をまとめて発表している。
2015年2月から2016年10月まで、132破裂動脈瘤の内77個(58%)の動脈瘤にWEBを留置した。
留置に際して補助のステント、バルンカテーテルは必要でなかった(WEB-Fig.2,3)。
また抗凝固(抗血小板薬のことか不明)なしと発表している。
前交通動脈瘤32、後交通動脈瘤18、中大脳動脈瘤14、distalACA 6、脳底動脈先端部3、上小脳動脈2、椎骨動脈瘤2である。
3か月後の脳血管造影が77例中56例(73%)で施行された。
完全閉塞は47/56 (84%), 1例は部分閉塞のためクリッピングを追加治療とした。
頚部残存は8/56、WEBの基部の陥凹部の造影2/56であった。
Van rooijらはadequate occlusionは55/56 (98%)としている。
'adequate'は'適切な'という日本語での意味であるが、どのように適切なのか、説明がなくよくわからない (WEB-Fig.4,5,6)。
合併症は血栓塞栓性合併症が5(うち2例で症状の悪化がありmRS3と6)、手技中の破裂が1であったが適切な処置でmRS 0であった。
永続的なmorbi-mortalityは2.6%であった。
臨床的なフォローアップはmRS 0-2, 59 (77%), mRS 3-4, 3 (4%),mRS 5, 1 (3%), mRS 6, 14(18%)でありまた再出血はなかった(WEB-Fig.7,8)。
術前のグレードについて発表がなかったように思うが、通常の急性期群と考えれば、治療後フォローアップの成績は良好と思われる。
彼らの結論は予備的な検討であるが破裂動脈瘤に対して頚部の大きさにかかわらずWEBは安全で効果的であるとしている。
またステントやバルンカテーテルに使用する頻度を減らすことができ、また抗血小板薬が必要でないので破裂小動脈瘤のWEBの治療は期待が持てるというものであった(WEB-Fig.9)。
より多数症例の長期的な結果が望まれる。

広頚部分岐部動脈瘤でのWEB留置後compactionとoversizing法

WEBは当初、広頚部の分岐部動脈瘤の塞栓を目的としていたと思うし、WEBCASTやWEBCAST2はそれらの動脈瘤の治療についての報告であった(WEB-Fig.10)。
長期成績の報告が少なかったが長期成績がでてくれにつれて、一部の症例でWEBのcompactionが起こってくることがわかってきた(WEB-Fig.11,12)。
Compactionと同時に再開通の起こる症例も出てきているのでcompactionついての対策が発表されている。
これについて5演題ほど発表されていた1,3,4,5,6)
対策にはいくつかあり、一つは再治療にPalusRiderとコイルを使用する5)、あるいは初回治療にWEBとFlow diverter, WEBとstentを併用する方法1)ともう一つは初回治療時にサイズの大きなWEBを使用する(oversizing)というものである4,6)
サイズの大きなWEBを使用することは適応外使用になるのではと推測するが、Cognarらから発表があった6)
彼らによるとWEB留置後compactionが起こる場合があり、その際に動脈瘤に再開通を認めないものと再開通を認めるものがある(WEB-Fig.11,12,13)。
後者が起こると厄介である。
彼らのシリーズでは2015年1月以前の17症例ではWEBの至適サイズでの塞栓を行っていたが、最終フォローアップでcompactionが起こらなかったのは25%でminorなcompactionが 37.5%、 major なcompactionが37.5%に認められたという。
再治療を行ったのは13%であった(WEB-Fig.14)。
この再開通を伴うcompactionに気づき始めてから、次第に動脈瘤より大きいサイズのWEBを使用するようになってきたという。
2015年1月より28例の治療を行ったが,原則として、WEBサイズを動脈瘤径より大きくしている。
これによりCompactionはminor 26%. Major 26%に減少し再治療は行っていないということである(WEB-Fig.14)。
これらのことを踏まえて、彼らの経験した計45例について統計学的な検討が行われた。
WEB直径が動脈瘤平均径より1mmより大きかった17例と1㎜以下の28例の2群での検討である(WEB-Fig.15,16)。
(なお2015年1月前後での17例、28例の2群の分け方と、実際に使用したWEBと動脈瘤平均径の1㎜差で分けられた28例、17例の2群の症例数が偶然逆なのか、統計の間違いなのか、発表者に質問しなかったので、発表されたままの数値で記載した。)
差が少ない群では周術期合併症が18%, 長期合併症が4%にたいし、大きなWEB使用時では周術期35%,長期12%でありoversizingでは危険性がたかくなるようである。
OversizingによりWEBのcompactionなしが26%から56%、minorが39%から19%、majorが35%から25%に変化してcompaction率が低下している。
また再開通、再治療が減少している(WEB-Fig.15,16)。
結論としてまだ予備的な検討であるがoversizing治療は合併症が多いがcompactionとrecanalizationが少なくなるように思われるという(WEB-Fig.17)。
ハンガリーのSzikoraらはWEBのcompactionは拍動流によっておこると考えている3)(WEB-Fig.18,19)。
かれらはCompactionにそなえてのoversizing治療について基礎的なデータを出している。
VitroでWEBのoversizingでの形状変化、力学的変化を計測している3)。
またその際のメッシュの密度の変化も観察しflow disruptor効果についての基礎的データを示した。
1mmのoversizingによる動脈瘤壁にかかる力の増加は拍動流の力より小さくて動脈瘤破裂の危険性は低いという。
今後より適切なサイズの選択、治療適応の追求ならびにWEBの改良が行われるものと期待される。

引用文献・発表)

  1. Wide-neck MCA aneurysms with a branch coming from the neck: WEB + FD or WEB + stent?
    Pierot L., Soize S., Metaxas G., Gawlitza M., CHU, Reims, FRANCE
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France
  2. Web Treatment for Small Ruptured Intracranial Aneurysms
    Van rooij W.J., Peluso J., Sluzewski M., St Elisabeth Ziekenhuis, Tilburg, NETHERLANDS
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France
  3. Mechanical characteristics of the WEB intraaneurysmal flow disruptor: impact of oversizing
    Asztalos L., Peter N., Bognar E., University of Technology and Economics, Budapest, HUNGARY ; Szikora I., National Institute of Clinical Neurosciences, Budapest, HUNGARY
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France
  4. Endovascular treatment of wide-neck and bifurcation intracranial aneurysms using WEB device - a single center 3 years experience
    Miś M., Medical University Hospital in Wrocław, Wrocław, POLAND ; Mis M., Specialized Hospital im. A. Sokołowskiego, Wałbrzych, POLAND
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France
  5. Retreatment Option Using PulseRider®Following WEB Compaction in Wide Neck Bifurcation AneurysmsPresenting AuthorTufail Patankar
    Patankar T., General Infirmary, Leeds, UNITED KINGDOM ; Rennie I., Infirmary, Belfast, UNITED KINGDOM ; Bhattacharya J., King Faisal Specialist Hospital, Riyadh, SAUDI ARABIA ; Gal G., Denmark Hospital, DENMARK
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France
  6. Results of oversizing WEB strategy
    Cognard C., Januel A.C., Bonneville F., Tall P., Michelozzi C., Darcourt J., Guenego A., Hopital Pierre Paul Riquet, Toulouse, FRANCE
    ABC-WIN Seminar 15-20 January 2017 Val d'Isere France

文責 滝 和郎

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