外来
片側顔面痙攣のボトックス®治療【患者さん向け】
片側顔面けいれんに対してボトックス®治療を行っています。
外来: 康生会武田病院 脳神経外科 毎週金曜日 午前9:00-12:30
外来担当医 滝 和郎
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受付時間 平日の9:00~17:00
予約先 専用電話番号 075−361−1352
片側顔面痙攣
片側顔面痙攣(けいれん)は年配の方に多いのですが、若いかたもおられます。必ず片一方の顔やまぶたに、自分の意思とは関係なく痙攣が起こります。一般的には、目の周囲から口元へ広がり、徐々に進んであごの下の筋肉が痙攣、痙攣時間も長くなり、時には就寝中でも起こることもあります。原因は、脳の深部で顔面神経に血管が接触・圧迫することで起こります。
顔の一側が痙攣するため、接客業や企業のトップの方など、職業上、常に人と接しておられる方は悩んでおられると思います。時には気になって対人恐怖になるかたもおられます。また、片側の瞼が、無意識に急に閉じてしまうことが繰り返して起こる場合もあり、車の運転中に視野が妨げられるためヒヤーッとされることも多いと思います。プロのドライバーなど長時間、車を運転される方は、可能な限り早く治療をお勧めします。
確かな診断
片側顔面痙攣の診断は、専門医であればすぐに確定できます。口を横に伸ばすようにするとまぶたの下に痙攣が出るのが特徴です。MRI検査で原因が血管の圧迫によるものなのか、また脳腫瘍や脳動脈瘤のような特殊な原因で神経が刺激されているのか確認できます。また、手術治療に際しては、神経を圧迫しているのがどの血管なのか、圧迫や密着の状態などをMRIと3D-CTAの画像処理、フュージョン画像で、極めて明確に視覚化して治療の方法を決めています。
ボトックス®療法
手足の拘縮などを和らげるA型ボツリヌス毒素を薄めたものを顔の筋肉に少量注射し、筋肉を麻痺させて痙攣を起こりにくくする治療法です。美容外科・皮膚科でしわ予防・アンチエイジングに用いられるものと同じです。眼の周囲や口の周りの筋肉8~10か所に注射します。注射の痛みを軽減するため極細の針を使用しています。注射数日後から効果が出てきます。根本治療ではありませんが、一回の注射で3-4カ月間、症状が楽になります。特に瞼の痙攣が少なくなり、視野が妨げられることが少なくなり、よろこばれる方が多いようです。効果がなくなった時に再び注射を行います。根治手術を希望されない方、手術治療が適当でない方に行っています。外来で治療しております。
手術療法
☆顕微鏡視下で安全に
全身麻酔により手術用顕微鏡視下で後頭部にあけた小さな穴から、脳幹から出ている顔面神経に接触する血管を移動して、神経への接触を取り除くことで痙攣を引き起こさなくするものです。
☆高い成功率
当院ではセンター長をキャップに、ベテランの脳神経外科医、検査技師とのチーム医療で対応しています。術後すぐに痙攣がなくなることがほとんどですが、1~2週間で消失する方もおられます。95%以上の方が痙攣の消失をみております。
☆稀ですがもし副作用がおこっても手厚く
顔面神経と接して聴神経が走っておりますので、稀ですが聴神経が障害を受ける可能性がありますので術中にモニターを行い極力、障害が起こらないようにしております。このほか、喉を動かす神経の麻痺によって、物が呑み込みにくいといった副作用を稀に招く可能性がありますが、これもおこらないように注意して治療しております。また万が一、副作用がでても回復が早くなるように嚥下のリハビリテーションなどアフターケアも十分な体制を敷いております。
その他の治療法
薬物療法では抗痙攣薬剤がありますが、高い効果は望めないのが現状です。
平成27年9月30日のたけだメディカルニュースに片側顔面痙攣について掲載いたしましたが、同記事の一部を抜粋・変更しました。 文責 滝 和郎