透析センター
透析患者の高齢化とサルコペニア
維持透析患者さんの数は上図に示すように増加の一途を辿っておりましたが、いよいよ2021年をピークとして総数が36万7474人と減少に転じています。日本の維持透析患者さん全体のうち75歳以上の方の割合が35%に達しています。新規維持透析導入患者さんも80歳台の方の割合が増加傾向にあり、当院でも同様の傾向にあります。
高齢化が進むとともに、各種合併症の管理だけでなくサルコペニア・フレイルを念頭に置いた栄養管理が必要です。サルコペニアとは、“加齢に伴う筋委縮”です。
末期腎不全の原疾患として糖尿病患者さんが多く、脳・心血管系疾患の合併率が高く、予防対策(一次予防、二次予防)が重要です。その他、アミロイド沈着などの長期合併症への対策や悪性疾患など加齢に伴う様々な併存病態に対処する必要があります。他診療科と連携をとって診療を行い、必要に応じて適宜、当グループ病院や他院をご紹介致します。
“元気に長生き!”を目標と考えると、維持透析療法を行う中で食事を中心とした生活管理が非常に重要です。
特にサルコペニアに抗って元気に過ごしていただくために、“しっかりと食事摂取し、しっかりと服薬し、しっかりと運動する”ことで栄養状態を維持しながらバランスをとることを目標にしています。管理栄養士が随時、透析室に出向いてきめ細かく栄養指導を行っています。
運動については、透析中の運動療法を実施していましたが中断していました。
2022年4月より、慢性透析患者さんにおける、透析療法施行中の運動療法について保険収載されています。Covid-19やその他の感染症の流行の波が変動する中で、無理なく維持・継続可能なやり方を模索しつつあります。
当院はJR宇治駅の至近距離にあり交通のアクセスが良好ですが、年々高齢化する中で体力が低下した患者さんや合併症により自力通院が困難な患者さんが増えてきています。これに対応して専用の送迎車による送迎サービスにも力を入れ、居住地域や全身状態を考慮して送迎を行っています。
透析患者さんの長期合併症対策
透析室は十分なスペースと見晴らしの良い最上階フロアにあり、透析ベッドは50床あります。感染症の流行に合わせて適宜隔離して管理を行っています。
血管石灰化の予防を意識して透析液は4号液(Ca濃度2.75mEq/L)を用いています。
2024年10月現在、当院透析ベッドの全てがOnline HDF施行可能であり、適宜対応しています。
2016年3月から皮膚灌流圧(Skin perfusion pressure:SPP)測定器を導入し、末梢循環障害のある患者様を早めに見つけ出し、必要に応じてLDL吸着療法を施行しています。また、血管内治療が必要な方は適宜、専門医にご紹介しています。
慢性炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎に対して顆粒球除去療法も行っています。適応については消化器内科での判断になります。
その他、透析以外の特殊な血液浄化療法として血漿交換、エンドトキシン吸着、ビリルビン吸着、白血球除去なども随時行います。
診療体制とスタッフ
京都南部で数少ない透析可能施設であり、腎臓及び透析の専門医が診療を行っています(月曜日~金曜日)。
血液透析用のベッドは現在、50床あります。月曜日~土曜日にかけて、90名前後の血液透析患者様に対して1日3~5時間の維持血液透析(HD)を行っています。 月・水・金は午後3時30分から9時30分まで夜間透析も行っています。
腹膜透析の導入及び維持も行っています。
”腹膜透析+血液透析併用療法”にも対応しています。
土曜日の診療は非常勤医として京都府立医科大学泌尿器科から応援に来ていただいています。