リハビリテーション科
概要
回復期リハビリテーション病棟の業務に加え、急性期、周術期のリハビリテーション・訪問リハビリテーションに取り組み、シームレスなサポートが行える体制を整えています。
基本方針
- 急性期から生活期まで、安心で、満足度の高いリハビリテーションを提供する。
- 安全で質の高いリハビリテーションを提供するために、知識と技術の研鑚を重ね、機能回復と社会復帰に努める。
- 患者さんの立場に立ったリハビリテーションを提供する。
治療方針
リハビリテーション科は
- 早期から介入を開始し、諸機能の回復、持てる能力を活かした患者さん主体の生活の獲得を目指し各種療法を展開していく。
- 患者さんが「お一人でできることを一つでも増やせる様、かつそれが日常生活の中で活かせるように」を目標に、多職種が一丸となったチームアプローチのもと各種療法を展開していく。
診療体制
施設のご案内
施設基準の紹介(リハビリテーション科関連)
基本診療料 | 回復期リハビリテーション病棟入院料1 (平成30年8月1日) |
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加算 | 体制強化加算1 |
特掲診療科 | リハビリテーション料 脳血管疾患等リハビリテーション料1 廃用症候群リハビリテーション料1 運動器リハビリテーション料1 呼吸器リハビリテーション料1 |
人員配置の紹介(令和7年4月1日現在)
医師 | 3名(リハビリテーション専門医) |
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理学療法士 | 45名 |
作業療法士 | 36名 |
言語聴覚士 | 11名 |
訪問リハビリテーション(介護予防訪問リハビリテーション)
回復期リハビリテーション病棟もしくは一般病棟の入院生活から在宅生活への架け橋として訪問リハビリテーションを実施しております。
目的: | 入院生活とは違う部分、新たな思い、問題などへ、一緒に取り組ませていただきます。 在宅復帰後の生活環境への対応、生活リズム、活発な行動、役割を持っていただけるように取り組ませていただきます。 |
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疾患別リハビリテーションの適応期間
- 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者
発症、手術又は急性増悪から180日以内 - 廃用症候群リハビリテーション科の対象患者
診断又は急性増悪から120日以内 - 運動器リハビリテーション料の対象患者
発症、手術又は急性増悪から150日以内 - 呼吸器リハビリテーション料の対象患者
治療開始日から起算して90日以内
リハビリ疾患別割合、入院・外来割合(2023年度)
疾患別割合(入院・外来)
全療法 疾患割合
入院・外来
疾患割合
入院・外来
疾患割合
入院・外来
疾患割合
各療法取り組み
多様な状況で、能力を発揮して生活を送っていただけるように、基礎・基本を大切に確実な療法を提供していくことを重要視し、スタッフ一丸となって取り組んでいます。 新分野においても検証を積極的に行っています。
当院は以下を目標に掲げ、理学療法・作業療法・言語聴覚療法を実施しております。
- 1.筋力、関節可動性、姿勢バランスなどの運動機能を回復させよう
- 2.全身の部位・状態などを観察し、不動による疼痛・虚血を予防しよう
- 3.呼吸・循環機能を高め社会生活に必要な体力の向上を図ろう
- 4.課題にそった運動学習を促し、実際的な基本動作を高めよう
- 5.ADLの自立に向けて運動療法、物理療法などを駆使しよう
- 1.地域生活の拡大・充実(再建)に向けて、作業(注)に焦点を当てた個別性のある支援を行おう
※注:作業とは日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など人が営む生活行為であり、その人にとって目的や価値を持つものを指す - 2.ADL・IADLなどの活動を評価・介入し、主体的な生活の習慣化につなげよう
- 3.認知・行為、心理的側面を包括的に捉え、その人らしい作業の実現を援助しよう
- 4.生活行為に活かせる身体機能/操作機能の改善・獲得に取り組もう
- 5.自助具や福祉用具を駆使し、対象者を取り巻く環境を調整することで作業遂行を充実させよう
- 1.コミュニケーションを阻害する失語症や構音障害を改善し、意思疎通の向上に努めよう
- 2.生活の場で代償手段や環境調整等により、コミュニケーション活動を拡大しよう
- 3.摂食嚥下機能を高め、安全な経口摂取を支援しよう
- 4.すべての活動に影響を与える認知能力をとらえ、必要な情報を発信しよう
- 5.コミュニーケーション、食事、認知の問題に関わり、その人らしい社会生活への参加を支援しよう
立ったり、歩いたりすることが困難になった方に対して、運動方法の指導、機械の使用、補助具の使用等を行い、再獲得を目指します。
【1】リハビリ機器
脳卒中下肢装具
足関節や膝関節に装着して使用します。それにより、早期から立つ・歩くなどの練習を積極的に行うことができます。当院リハビリ室には多数の装具(下記表を参照)を保有しております。装具作成が必要な場合はリハビリ専門医・義肢装具士と共同でサポートいたします。また、定期的にリハビリ科全体で適正な装具の検討会を実施しております。退院後のアフターフォローもしており、装具カードの配布を行っております。
装具カード
装具一覧表
金属支柱付き短下肢装具 | オルトップ | タマラック |
ゲートソリューション | RAPS | アンクルサポート |
ゲイトイノベーション | シューホーンブレース | ウイングフォーム |
電気刺激療法機器
当院では【IVES】【ESPURGE】【NM-F1】という3つの機器を導入しています。この機器の目的は筋肉に電気刺激を用いて筋肉の働きを促します。これにより、痛みの緩和、筋力低下の予防や再学習に役立てます。
<ポイント>
2020年の診療報酬改定にて【NM-F1】は運動量増加機器加算を算定できるようになりました。この機器の目的は歩くときに足首が上がらない方のサポートをすることです。
超音波診断装置(ポケットエコー)
筋肉の長さ、面積を測定し、状態の評価を行い、理学療法の効果を確認することができます。
免荷歩行器
【免荷歩行器POPO】は体重を引き上げることにより、足への負担を軽減させ、歩行練習を助けます。
活動量計
入院中から活動量計を装着することで運動習慣を継続する可能性が高くなります。
【2】取り組み
生活機能練習
実際の生活に近い形での練習を積極的に行っています。公共交通機関を使って移動する、買い物やデパートへ行く、自宅やその周辺での活動練習を入院中から行います。
集団起立訓練・集団体操
担当とマンツーマンで実施する理学療法以外の時間で定期的に他の患者さんと共に立ち上がり訓練とラジオ体操を実施しています。
病棟自主トレ
理学療法士が考案した個別のメニューを担当とマンツーマンで実施する理学療法以外の時間で看護師と共に実施しています。
装具外来診察
退院後に装具の故障・再作成が必要となった際に、外来にてフォローを行います。
食べたり、入浴したり、人の日常生活に関わる全ての諸活動を「作業」と呼びます。作業ができなくなった方々に対し、治療、支援を行っています。
【1】目標を決める
患者さんお一人お一人のそのひとらしい生活の実現に向けて、希望や思いをお伺いし、これからのリハビリテーションについての見通しをたてます。患者さんだけでなく、ご家族の思いも含んだ目標になるよう、ご家族からも情報収集をさせていただいています。
ADOC・ADOC-H
「ADOC(作業選択意思決定支援ソフト)」「ADOC for Hand」(iPadアプリ・ペーパー版)などを用いて目標を決定していきます。
【2】手を使う
上肢装具
脳卒中後の上肢麻痺に対して、痙縮(手足のつっぱりやこわばり)の軽減、痛みの軽減、変形予防などの目的のために使用します。患者さんの症状に合わせて選定させていただきます。
当院では以下の装具を保有しています。
- ・オモニューレクサ
- ・SGO肩装具
- ・アームスリング
※装具業者から他種装具もレンタルを行っています
電気刺激装置
肩~手指の神経、筋に刺激を与え、運動機能や痛みの改善を目的に使用しています。目標とする活動に合わせて個別の設定を組み、訓練を実施します。
当院では以下の機器を保有しています。
【3】生活をする
日常生活動作(ADL)練習
食事や着替え、トイレ、整容、入浴などの日常生活動作について支援・練習を行います。
患者さんの状態に合わせて、自助具や福祉用具を提案しています。
家事動作(IADL)練習
調理や掃除、洗濯などの家事動作に対して支援・練習を行います。患者さんの状態に合わせて、自助具や福祉用具を提案しています。
また、コンビニやショッピングモールでの買い物練習も実施します。
【4】地域・社会へ戻る
家屋調査
患者さんのご自宅へ伺い、生活環境での動作練習、福祉用具や自助具の提案、住宅改修のための情報提供などを行います。
また、ご自宅近辺の路面状況や環境についても確認させていただき、退院後の生活に向けて注意点などをお伝えさせていただきます。
公共交通機関の利用練習
必要に応じてバスや電車など公共交通機関での移動練習を行います。
復職・就労支援
高次脳機能障害などをお持ちの患者さんに対して、復職や就労に繋がるよう多職種で協働して支援・練習を行います。
【5】趣味を楽しむ
レクリエーション
認知機能の維持・向上を目的にリハビリテーション以外の時間帯も生活の一部として活動するため、季節に合った創作活動や歌唱、体操・コグニサイズなどを行っております
園芸
屋上のガーデンスペースにて季節の野菜や植物を栽培しています。患者さんとともに計画し、苗植えや水やり、そして収穫後は調理も行っています。
病気や事故でコミュニケーションや嚥下(飲み込み)の力が損なわれた方に、自分らしい生活ができるよう支援や練習を行います。
【1】コミュニケーションの練習
患者さんのコミュニケーションについて、下記に代表される課題について、その影響の有無、大きさを総合的に確認し、その人らしいコミュニケーションの確立を目指します。
①高次脳機能障害・・・以下に代表される症状により日常生活に支障を来す状態。
注意障害:物事に集中できない、複数の作業を行うとミスをするなど。
記憶障害:新しいことが覚えられない、予定を忘れてしまうなど。
社会的行動障害:暴力を振るう、感情が押さえられない、大声を出すなど。
②失語症・・・脳損傷により、「うまく話せない」、「話が理解できない」など「話す」「書く」「聴く」「読む」ことに支障を来す。
③構音障害・・・口唇、舌の麻痺によりうまく発音できない状態。
④難聴・・・加齢の影響などにより音の聞き取りが難しい状態。
【2】嚥下(飲み込み)の練習
検査、食事環境の調整、練習を行い、安全に飲み込みができるようリハビリテーションを行います。疾患別リハビリテーション、摂食機能療法いずれの条件にも当てはまらない方の嚥下機能の確認も必要に応じて行っています。
嚥下造影検査:X線透視下で造影剤を飲み込み、口や喉の動きや食物の動きを確認する。
嚥下内視鏡検査:内視鏡を用いて嚥下に関わる器官、声帯の状態、食事の動態などを確認する検査。
嚥下カンファレンス、NST(栄養サポートチーム):週に一回、医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士と協力して患者さまの食事や栄養について検討を行います。
SST(Swallow support team):嚥下障害への対応について、質の向上のために医師、看護師、言語聴覚士で食事環境や検査、評価の方法の見直しを行っています。
SSTの取り組みに関する詳細にご興味のある方は、以下のクリックをお願いします。
【3】予防のための取り組み
勉強会:入院患者さん、ご家族向けの勉強会を開催し、嚥下障害について知ってもらう取り組みを行っています。
リハビリ職種提供体制 〈令和6年12月31日現在〉
リハビリ職種には多様な病気・怪我に対応することができる資格の制度があり、下記割合のスタッフが在籍しています。
理学療法士以外の保有資格一覧 | |||
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認定理学療法士 | 認定言語聴覚士 | ||
・脳卒中認定理学療法士 | 3名 | ・摂食嚥下障害言語聴覚士 | 1名 |
・補装具認定理学療法士 | 1名 | 回復期セラピストマネジャー | 6名 |
・管理運営認定理学療法士 | 1名 | 障害者初級スポーツ指導員 | 1名 |
登録理学療法士 | 6名 | ACP相談員 | 1名 |
協会指定初級管理者 | 2名 | 両立支援コーディネーター | 5名 |
協会指定上級管理者 | 1名 | 介護予防リーダー | 1名 |
地域ケアリーダー | 2名 | 装具アドバイザー | 1名 |
呼吸療法認定士 | 2名 | フレイル予防リーダー | 1名 |
急性期ケア専門士 | 1名 | 心不全療養指導士 | 2名 |
重度訪問介護授業者研修修了者 | 1名 | 介護福祉士 | 1名 |
リハビリテーションインストラクター | 1名 | 臨床美術士5級 | 1名 |
介護支援専門員 | 1名 | 認知症ケア専門士 | 4名 |
日本糖尿病療養指導士 | 1名 | 骨粗鬆症マネジャー | 1名 |
京都府糖尿療養育指導士 | 3名 | 福祉住環境コーディネーター2級 | 4名 |
日本作業療法士協会基礎研修認定者 | 1名 | 福祉住環境コーディネーター3級 | 1名 |
生活行為マネジメント実践者 | 3名 | 社会福祉主事任用資格 | 1名 |
認知症ライフパートナー | 1名 |