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第16回病診連携消化器クリニカルカンファレンスが開催されました
■第16回病診連携消化器クリニカルカンファレンス
京都市域の開業医とともに消化器疾患の先端医療研修
武田病院グループの消化器領域の医師や看護師らが、地域の開業医の先生と消化器がんなどの最新治療について研修する第16回「病診連携消化器クリニカルカンファレンス」(康生会武田病院、下京西部医師会、アストラゼネカ株式会社、第一三共株式会社共催)が5月28日、京都市下京区のホテルグランヴィア京都で開かれました。
京都市内の開業医や医療関係者86人が出席、康生会武田病院の内藤和世院長から、「今、日本は超高齢化社会を迎え、さらに2025年以後に急激な人口減少が予想されています。一方で病気については胃がん、大腸がんなど消化器がんは今後も増えると考えられ、武田病院グループでも開業医の先生と協働で内科・外科的治療で救命に尽くしていきたいと考えています」と挨拶。康生会武田病院消化器センターの平田育大医長による一般講演『最近当院で診療したトルーソー症候群の症例検討』に移りました。
平田医長は、悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進から脳梗塞をきたすトルーソー症候群について発症機序を最初に説明。脳梗塞で救急入院し胃癌が判明した症例や、膵癌の診療中に脳梗塞を発症した症例を提示した。自院の症例の分析と文献的考察によりトルーソー症候群の画像的特徴やD-dimer値がマーカーになること、治療法や予後について概説した。
一般講演2では、康生会武田病院外科の山口真彦部長が『膵癌治療の向上を目指して』とのタイトルで、病態の早期発見、診断が困難とされる膵臓がん治療の現状を報告しました。山口部長は、冒頭「膵がんの年間死亡者数は3万1716人(2014年)など年々増加、また、5年生存率が7%と悪いのは、発見時にステージ3~4と、すでに根治切除が困難な状態であることがその原因として考えられます」と訴えました。
山口部長は、胃がん、大腸がんのステージ1での5年生存率が80%~90%以上なのに、膵がんのステージ1では、5年生存率が55%にすぎない点も強調。膵がん発症を少しでも早く発見するために、「危険因子とされている家族歴(13%)、肥満、糖尿、慢性膵炎、喫煙習慣の改善、特に2つ以上の危険因子を持っている人の積極的な健診受診が望まれます」と、検査や膵がんの困難な外科手術の症例画像を示しながら分かりやすく解説しました。
第3部の特別講演の部では、京都府立医科大学消化器内科の小西英幸准教授が「酸関連疾患に対する治療と当院における内視鏡診療の現状」と題して講演をされました。胃食道逆流症(GERD)の病態やプロトンポンプ阻害剤(PPI)の有用性などを説明するとともに、今後日本でも増加する可能性が示唆されているバレット腺癌の診断と治療についても解説されました。また、大学病院における早期癌の内視鏡治療の実績や若手医師の教育体制などについても報告されました。続いて活発な質疑応答がなされました。閉会にあたり下京西部医師会副会長の小泉俊三七條診療所長が、武田病院グループとの連携を深めながら、今後も地域医療へ貢献していくことを誓いました。