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第28回康生会武田病院症例検討会が開催されました
■第28回康生会武田病院症例検討会
開業医の先生方と最先端の医療情報共有
京都市内や亀岡市の開業医の先生方と、世界の最先端医療情報を共有し、研修を深める第28回「康生会武田病院症例検討会」(共催:康生会武田病院、下京西部医師会、第一三共株式会社)が10月3日、京都市下京区のホテルグランヴィア京都で開かれました。
医療関係者ら150人が出席。冒頭、武田病院の内藤和世院長が、「開業医の院長のご協力によって患者・家族の皆さんとの地域連携がスムーズに運んでいることを感謝いたします。循環器、脳卒中センターや整形外科部門の治療スタッフや先端機器の導入に続いて、消化器部門の充実を図っているところです。今後とも地域医療の貢献に最善を尽くすつもりでおりますので、さらなるご支援をお願いいたします」と挨拶。七条診療所の小泉俊三所長が座長を担当され、『アニキサス症の臨床 AtoZ』とのタイトルで、消化器センターの山口琢医師が発表しました。
武田病院で年間10例の治療があったアニサキス症について、「42歳男性、2日前に鯖寿司を食べ上腹部痛による内視鏡下治療」など2症例を報告。アニサキスは回虫の仲間で、幼虫はサバ、アジ、イワシなどの生食によって感染、「長さ2、3cmの幼虫が胃壁にもぐり込んで腹痛や潰瘍を引き起こした」ものと診断、内視鏡で虫をつまみ出した瞬間、嘘のように痛みが消えた点、寿司や刺身といった生食が多く、世界の95%のアニサキス症が日本で発症している点などをわかりやすく分析しました。
続いて、座長には上田医院の上田尚司院長が座長を務められ、武田病院外科の村田徹副部長が、『直腸S状部癌イレウスに対して減圧後に腹腔鏡下手術を施行した症例』と題して発表。村田副部長は初めに、高齢化が進む日本では食生活の欧米化によって大腸癌が急増しており、確固たる治療戦略が必要なことを強調し、武田病院ではステージ2~3の大腸癌では、リンパ節廓清なども腹腔鏡下で積極的に手技を実施して、患者さんを低侵襲で完治に導いていることを述べました。
また、村田副部長は、大腸癌や直腸癌の腹腔鏡下手技について、「当院では狭い直腸内であっても優秀な助手を含めたチーム医療によって、電気メスでシャープに剥離や切除を進めることが可能で、正確な術野展開を日々実施しています」と、2症例を動画を用いて解説しました。
特別講演では、京都府立医科大学大学院消化器内科学の伊藤義人教授が、『トータルケアを目指した慢性肝疾患の治療』と題して講演。冒頭、伊藤教授はウイルス性肝炎の癌化は深刻で、治療には国からの医療費助成があり、年間1人当たり数百万円に上っていることや、アルコール性よりも非アルコール性肝疾患(NASH)が成人男性の3人に1人、約2000万人と急増していることを報告。また、伊藤教授は、B型肝炎患者やHBVキャリアの患者さんは、免疫抑制治療や化学療法を実施することによって、HBVが再増殖することがある「HBV再活性化」が起こり、かえって重症化しやすく発症予防に留意する必要性があることを強調しました。
伊藤教授は、新薬の開発に併せて、従来からのインターフェロンの効果が顕著で、「耐性に対する検査や感受性がきっちり把握できれば、肝癌や肝硬変の完治も可能になり、治療範囲は広がってきています」と分析、会場から寄せられた肝疾患に対する質疑にも、丁寧に応えていただきました。