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『下京西部医師会生涯教育講演会 令和2年度第2回病診連携講演会』を開催致しました。
第2回病診連携講演会 『関節リウマチの診断と治療の最前線』を開催
(康生会武田病院・下京西部医師会 共催)
康生会武田病院と下京西部医師会は「下京西部医師会生涯教育講演会 令和2年度第2回病診連携講演会」を1月21日に京都府医師会館で開催しました。当日はWEBによる聴講にも対応し会場とのMIX方式で講演が進められ、肉声だけでなくチャットも駆使した意見交換が行われました。
冒頭、下京西部医師会の小笠原宏行会長は、COVID-19への感染対策を説明したうえで、「今年度から病院のご協力を得て共催形式に取り組みました。WEBも活用することで、より多くの会員の皆さんに受講して頂きたい。本日のテーマである関節リウマチの患者さんは多くおられますので、一緒に勉強し有意義な会となるようお願いします」と挨拶しました。
演目は2題で構成され、いずれも医療法人令寿会しまばら病院の高橋衛院長が座長を務め、康生会武田病院の武田純院長によるトピックス紹介と医仁会武田総合病院の三森経世院長による講演が行われました。
<トピックス紹介>
武田院長は2つのパンデミックをテーマにトピックスを紹介。
1つ目は新型COVID-19の対応とし、「入院予定者全例のPCR検査」、「当日入院や救急入院に対する迅速抗体検査」など、厚生労働省の指導に基づく同院での感染対応を説明しました。
2つ目のテーマは心不全パンデミックです。武田院長は、「毎年1万人ずつ増加する心不全への対応は急務です。地域の先生方が主体となって患者さんを診るのですが、病態が悪化すれば病院への入退院を繰り返すことになります。中核病院である当院では、循環器内科と不整脈科の横断的な連携の強化、地域との連携強化のため4月に『心不全センター』を開設する予定です」と説明。続けて、「3密のコロナを克服し、『密の地域連携』を推進してまいりたく、ご協力をお願いします」と聴講者に呼びかけました。
質疑応答で武田院長は、新型コロナウイルスで困っていることについて問われると「陰圧室の整備など院内での安全管理の確保が大変です。救急に応じられる数にどうしても限りがでるため心苦しいです」と胸中を吐露しました。
座長の高橋院長は、「医療崩壊という言葉は好きではないですが、上手く回っていないのは明らかです。国や府としての全体的な対応を大きな視点で考えていくべきではないでしょうか」と聴講者全員に思いを伝えました。
<講演>
その後は医仁会武田総合病院の三森経世院長が「関節リウマチの診断と治療の最前線」と題し講演しました。
三森院長は、関節リウマチの分類・病因・発症機構などの説明を行ったうえで、「従来の治療目的は『痛みを和らげる』『身体機能維持する』といったものが近年では『寛解の導入・維持』『関節破壊進行の阻止』が重要なゴールとされるようになりました。さらなる治療の進化によって『治癒』『あるいは破壊関節の治癒』があり得ると考えられます」と将来展望を示し、最新の治療を紹介しました。
質疑応答では『治療開始の条件』についてチャットで質問が寄せられ、三森院長が「関節リウマチと診断されたら直ちに治療すべきです」と返答しました。さらに高橋座長が「診断は抗CCP抗体が鍵とのことでしたが詳細については」と尋ねると、三森院長は「抗CCP抗体が陽性ならば、自信を持って陽性と診断できます。陰性の場合の判断は難しいですが、他の様々な関節炎を発症する疾患をルールアウトし、やはり関節リウマチが一番疑わしいということになればリウマチの治療を行うべきです。どうしても関節リウマチの2~3割は陰性になります」と丁寧に解説しました。