間質血管細胞群を用いた治療
変形性膝関節症に対する治療の目的及び内容
目的
ご自身の脂肪組織を採取し、脂肪組織から分離、濃縮洗浄して得られる間質血管細胞群(Stromal Vascular Fraction:以下、SVF という)を膝の関節腔に注入することによって、患部の痛みの軽減など、変形性膝関節症の症状を改善することを目的とします。
内容
本治療では、下腹部、背部、臀部または大腿部を、局所麻酔の下で小さく切開し(約 3~ 5mm、目立たない部位を選びます)、脂肪組織を吸引して採取します。採取した脂肪組織は、細胞濃縮洗浄システム装置で酵素処理をおこないSVF に加工し、症状が見られる膝の関節腔に注射投与します。
再生医療等に用いる細胞について
本治療では、ご自身の脂肪組織を酵素処理することによって得られる SVF という細胞群を使用します。SVF 中には幹細胞と呼ばれる細胞の他、血管内皮細胞等が含まれており、これらの細胞や細胞が分泌するサイトカインが作用して、炎症を抑えることにより痛みを軽減し、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
脂肪採取・加工・投与
STEP01
脂肪組織の採取(手術室兼細胞調整室)【所要時間60分程度】
脂肪組織は、局所麻酔の下、下腹部、背部、臀部または大腿部を約 3~5mm 切開し、そこから細い金属の管(カニューレ)を挿入し、必要量の脂肪組織(約 40~200mL)を吸引採取します。
切開部は自然に溶ける糸で皮下縫合し終了します。抜糸の必要はありません。
脂肪組織を採取した部位は皮下出血斑と腫れを生じますので、局所の安静保持と圧迫のため、腹帯・ストッキング・ガードルなどを使用します。術後の痛みには、鎮痛薬を処方します。
STEP02
脂肪組織の加工(所要時間:約 120 分)
脂肪組織を採取後、当診療所内で、細胞濃縮洗浄システム装置を用いて脂肪組織から SVFへの加工を行います。加工時間は 120 分程度です。この間、リカバリールームにて休憩していただきます。
STEP03
SVF の投与(手術室兼細胞調整室)
SVF が加工でき次第、患部である膝の関節腔に注射を行ないます。注射後は 15 分程度、そのままの体位で安静にしていただきます。
STEP04
投与後
充分な休息を取った後、帰宅可能であると医師が判断した上で帰宅していただきます。
SVFを注射した部位は、絆創膏、ガーゼなどにて1日程度被覆保護し、過ごしていただきます。なお、治療当日は飲酒をお控えください。
変形性膝関節症治療の副作用
本治療を受けることによる危険としては、脂肪組織の採取部位に腫れや痛みを生じますが、1~2 週間で軽快します。また皮下出血により皮膚が紫色~黄色に見えることがありますが、自然に吸収されて2~3週間くらいで正常な皮膚の色に戻ります。また、脂肪組織を採取した部分の皮膚表面に凹凸が出ることがありますが、丁寧にマッサージをすることで平らになってきます。
その他、関節腔内への投与に伴い、注射部位の腫れや痛みなどの軽微な事象が報告されていますが、いずれも治癒しており、処置が必要であったり、後遺症が残る可能性があったりするような重大な副作用や健康被害は報告されていません。
治療の流れ
武田病院グループの各専門分野が連携し対応いたします。
予約 (康生会武田病院)
受診 (康生会武田病院)
膝再生医療外来にて問診・診察。
レントゲンの結果からこの治療法の適応かどうかを判断します。
検査 (梶井町放射線診断科クリニック)
患部のMRI撮影。高度な医療を提供するために設立された画像診断専門のクリニック。
経験豊富な放射線科専門医とスタッフが診療!
施術 (たけだ膠原病リウマチクリニック)
局所麻酔を行い脂肪を採取。採取した脂肪から取り出した幹細胞を当日に関節腔内注射で投与。入院不要の日帰り治療です!
詳しい施術の流れはこちら
処置後(康生会武田病院)
治療後は経過観察のため、1週間後、1か月後、3か月後、6か月後、12か月後にご来院ください。
費用について(自費診療)
片膝施術(SVF) | 869,500円(税込) |
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両膝同時施術(SVF) | 1,482,500円(税込) |
※康生会武田病院での診察、梶井町放射線診断科クリニックでのMRI、たけだ膠原病リウマチクリニックでの施療費を含みます