第6回京滋骨を守る会講演会が開催されました
2016/11/30 インフォメーション 医仁会武田総合病院
骨折を招く骨粗鬆症の予防など研修
転倒による骨折などを起こす骨粗鬆症が、結果的に寝たきりを招く危険性が高いことから、骨を丈夫にする研修を深める第6回「京滋骨を守る会講演会」(主催:認定NPO法人京滋骨を守る会、後援:公益財団法人骨粗鬆症財団)が11月26日、京都市上京区のKBSホールで開かれ、出席した350人が骨の病気と骨粗鬆症の予防について学びました。
開会に先立って、医仁会武田総合病院の森田陸司院長(京滋骨を守る会理事長、骨粗鬆症財団監事)が、「京滋骨を守る会の最も大切な仕事は、市民の方々に骨粗鬆症に対する危険性と、骨折を招くロコモティブ・シンドロームに対する理解を深めていただくことです。骨折を防ぐことによって、高齢者の皆さんが自立して暮らせる健康寿命を延すことにつながります。しっかり学んでいただいて、骨と体の健康に役立ててください」と挨拶しました。
第1部では、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター講師の岩本潤先生が、『骨粗鬆症と運動・スポーツ』と題して、骨の仕組みや新陳代謝によって骨は丈夫にも弱くもなってしまうことを分かりやすく説明。特に岩本先生は、「骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、閉経後の女性で、50歳代では10人に1人、60代では3人に1人、70歳以上になると2人に1人がり患することが分かっています。予防のためにはジャンプ運動が最も効果的で、ジャンプ運動100回を週3回、7カ月続けていただけば、骨も丈夫になるのです」と、歩くことやストレッチ、片足立ちなどのバランス訓練(フラミンゴ療法)、家事をしながらの屈伸運動といったトレーニング法を、画像で示しながら訴えました。
講演の合間には、武田病院グループ 康生会クリニック健康運動指導士の今井優科長が、声を出しながら楽しく取り組める体操や、認知症予防にもつながる、頭を使いながら腕や足の筋力アップをさせる運動を、会場の皆さんと一緒になってわかりやすく指導しました。
第2部の『骨の健康維持のための食事のポイント~いつまでも元気に過ごすために~』のテーマで、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授の塚原典子先生が講演。塚原先生は、骨の丈夫さを維持するのはカルシウム摂取と大きく関係している事実を分析、「ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する栄養素と言われています。また、D以外にもタンパク質やビタミンC、A、Kを摂ることです」と、牛乳やヨーグルト、チーズ、サケやイワシなどの魚介類、緑黄色野菜などの摂取を訴えました。
この日はゲストとして、山歩きが趣味だった82歳の女性が、山中で転倒して骨折、治療中に今度は脊椎損傷に見舞われた体験談を披露。女性は「82年間に大小5回の骨折しました。最もひどかった2回の骨折中に骨粗鬆症の治療を受けたのですが、途中で治療を止めてしまいました。医仁会武田総合病院に骨粗鬆症専門外来があることを知り、以来、ずっと治療を受けてすっかり元気になりました。現在は大好きなバードウオッチングや月2回の筋トレ体操、週2回のボランティアとしてデイサービスで働いています」と話し、出席者から大きな拍手が贈られました。
会場から寄せられた質疑応答の時間では森田院長が座長を務め、岩本先生、塚原先生を交えて、「果物が好きですが、糖分が多いので骨によくないのですか」「骨折を起こしたが今後の注意について」「尻もちをつくことが多いのですが、診察を受けるには」「大腿骨骨折予防のために必要な運動法」といった質問に、わかりやすく回答しました。また、ロビーでは、相談ブースや骨密度測定コーナーが設けられ、多くの参加者がチェックを綿密に受けていました。