第9回地域医療連携PAD学術講演会が開催されました
2016/07/28 インフォメーション 武田病院
■第9回武田病院地域連携PAD学術講演会
動脈硬化が招く心臓や足病変の最新
治療地域の開業医の先生と熱心に討議
多くの臓器の障害を招く動脈硬化による心疾患や足の病変の最新医療について、地域の開業医の先生と研修する第9回武田病院「地域連携PAD学術講演会」(共催:康生会武田病院、下京西部医師会、大塚製薬株式会社)が7月23日、京都市下京区の京都センチュリーホテルで開かれました。
座長には、循環器内科・内科「まつばらクリニック」松原欣也院長が担当していただき、第1演題『当院でのトルバプタン使用経験からの考察』と題して、武田病院循環器センターの山﨑敬史専攻医が発表。山﨑医師は、心疾患や肝硬変では、患者さんの水分代謝が悪くなって足のむくみや腹水を引き起こすことがある危険性を指摘。最新の利尿薬としてトルバプタン(サムスカ錠)を使用した89に上る症例を紹介しました。
症例の中でも、完治が極めて困難とされている心不全の患者さんが最も多く38%に上り、「サムスカの適切な使用によって、スムーズな利尿作用や呼吸困難が緩和され、患者さんの負担軽減に確かな進歩が確認できました。これらから、急性期の心不全患者さんへのサムスカ使用は安全で効果も優位で、外来患者への投与も有益だと思われます。また、再入院を防げる可能性があると考えています」と強調しました。
特別講演会は、武田病院循環器センターの木下法之部長が、『Vascular Intervention 最近の話題』として、最初に右肩上がりで増えている心疾患患者の背景に、動脈硬化の患者が急増している点を指摘。特に近年になって冠動脈の石灰化が、循環器疾患治療のトピックになっている事実を示し、「石灰化が激しいと冠動脈疾患を招きやすく、ハイリスクになりやすいと考えるべきです」と訴えました。
木下部長は、心筋梗塞など多くの心疾患病変の血流再開に対してのカテーテル治療症例を示す一方で、武田病院循環器センターでは「心臓の病気は全身の病気である」との立場を遵守。足の痛みやしびれ、間欠性跛行や潰瘍に対しても、心臓からの血管病変として幅広く治療に当たっている症例についても、動画を示しながら述べました。また、新デバイスのステントである生体吸収性スキャホールド(BVS)が用いられるようになり、数年後にステントが体に吸収されて血管が太くなるなど、カテーテル治療におけるステント留置術の進歩や、血栓を起こしたり血管の膨張を防ぐ新しいステント開発の今を紹介しました。
山﨑専攻医、木下部長は、「サムスカの使用についてのマイナス面は」「ナトリウムが高値の場合の対応について」「認知症患者さんへの投与は大丈夫なのか」「新しいデバイスでの長期成績は」といった会場からの質問にも丁寧に応えました。
閉会にあたって下京西部医師会会長の安田雄司(やすだ医院)院長から、「下肢動脈の大腿部や膝下部のカテーテル治療など、困難とされる最先端治療に取り組んでおられる武田病院に敬意を表しますとともに、今後も開業医と協働で地域医療に貢献していただきますようにお願いします」と要望され、懇談会へ移りました。