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Iru miru 健康通信 武田総合病院 消化器センター/消化器内科顧問 勝島 慎二「脂肪肝」

2025/01/31 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


katsushima10a.jpg武田総合病院 消化器センター/消化器内科顧問
勝島 慎二
「脂肪肝」

 脂肪肝とは?

 脂肪は私たちにとって最も効率的な栄養の蓄え方です。人体最大の臓器である肝臓は、栄養を肝細胞の中に脂肪として蓄え、必要に応じて脂肪からブドウ糖を合成し、これを全身にエネルギー源として供給しています。脂肪肝とは、過剰なまでに肝細胞に脂肪が蓄積した病態です。この状態が長く続くと、一部は慢性肝炎へ移行し、さらに一部では肝硬変や肝臓がんを患うことがあり、決して軽視はできません。

 脂肪肝の原因は?

 脂肪肝の二大原因は肥満(過栄養)と飲酒です。お酒を飲まない方でも肥満症があると、過剰な栄養が肝臓(肝細胞)に大量に運び込まれ、最終的に脂肪として蓄えられます。飲酒量の多い方では、アルコールを肝臓で分解する過程で生じる代謝物が肝臓の働きをゆがめ、脂肪合成の増加およびブドウ糖合成の低下を招くことで脂肪が過剰となり肝細胞に蓄積されます。

 治療法は?

 残念ながら脂肪肝を治す、あるいは改善する薬剤やサプリメントはありません。原因となる肥満や飲酒への対応が鍵となります。肥満症の方では、体重を少なくとも一割減らしていただくと効果がみられます。減量の基本は食事療法と運動療法ですが、それだけで不十分な場合は肥満症の治療薬を使用する方法があります。昨年、有効性の高い薬剤が保険適用されましたので、肥満症専門医(当院にも在籍しております)にご相談ください。飲酒量が多くて脂肪肝となっておられる方では禁酒が最も良いのですが、節酒でも効果がある場合があります。従来の禁酒薬に加え、5年前から新しい節酒薬が保険適用されています。ご自身だけの力では禁酒や節酒ができない場合は精神科・心療内科などを受診され、投薬も含めて相談してください。

 脂肪肝にならないためには?

 標準体重を維持して、肥満症になるのを避けることが肝要です。また飲酒する場合は男性では純アルコール換算で1日に20g(ビール中瓶1本相当)以下、女性では15g(缶ビール350cc1缶相当)以下に抑えましょう。