京都新聞朝刊 医療のページ 武田総合病院 循環器内科主任部長 北村 亮治「末梢動脈疾患」
2025/01/30 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「末梢動脈疾患」 禁煙など生活習慣の改善を
武田総合病院 循環器内科主任部長 北村 亮治
聞き慣れない病気ですが。
末梢(まっしょう)動脈疾患は、心臓の血管以外の動脈に病変が生じる疾患の総称で、下肢に生じることが多いとされています。典型的な症状としては初期には歩行時の足のだるさや痛みがみられますが、進行すれば安静時にも冷感やしびれ、痛みを生じることがあります。さらに進行すれば、皮膚潰瘍や感染を起こして壊疽(えそ)になり、下肢切断という深刻なことにもなりかねません。患者さんは一般的に70歳以上の高齢者が多いといわれています。
原因は。
主に糖尿病や高血圧、コレステロールの異常による動脈硬化であり、喫煙などの生活習慣も大きな要因です。動脈硬化とは文字通り血管が硬くなる状態で、血管内に悪玉コレステロールが蓄積し、血管が狭くなることで血流が悪くなり症状が出ます。末梢動脈疾患のチェックは足首と上腕の血圧の比(ABI)で評価するのが一般的です。末梢動脈疾患は全身性の疾患であり、下肢に症状が出ている時には、心臓や脳の血管にも動脈硬化が進行していることが多いというのが重要なメッセージです。
治療方法は。
まずは禁煙や散歩などの生活習慣の改善が重要です。薬物療法は多少の症状改善は期待できますが、不十分な場合には血管内治療を検討します。血管にカテーテルを挿入して狭くなった血管を広げる治療です。特殊な薬剤を塗布したバルーン(風船)やステントと呼ばれる金属製のチューブを留置することで、血流を回復させます。重症の場合には、手術療法が必要になることがあります。治療後も血管が再び狭くなることがあるのでリハビリを含めた定期的なフォローが必要です。足の症状で気になることがありましたら、一度専門医に相談してみてください。