Iru miru 健康通信 山科武田ラクトクリニック 消化器内科 高橋 周史 「大腸ポリープ」
2024/11/30 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
山科武田ラクトクリニック 消化器内科 高橋 周史
「大腸ポリープ」
大腸ポリープとは?
大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変のことです。形態は、ドーム状に隆起するものや、わずかに平たく隆起するものなどさまざまです。大きさも、ミリ単位のものから数センチのものまであります。
放置するとがんになる?
大腸ポリープには、腺腫、鋸歯(きょし)状病変、炎症性ポリープ、過誤腫(かごしゅ)性ポリープなど数多くの種類がありますが、がん化の危険性は種類によって異なります。腺腫や鋸歯状病変は、発がんリスクが証明されているポリープで、特に腺腫からの発がんは、最も主要な経路と言われています。腺腫の発がん率は、報告によりかなりの相違がありますが、発がん率がその大きさに依存しているという点ではどの報告も一致しています。5ミリ未満での発がんは稀ですが、1センチを越えてくると徐々に高くなるため、小さい段階での発見が望まれます。
早期診断のために気をつけることは?
残念ながら、小さい大腸ポリープが自覚症状を伴うことはほとんどありません。腹痛、便通異常、便柱狭小化、下血などの症状を認める場合は、むしろ大きなポリープや進行がんの可能性があります。
大腸ポリープ発見の経緯は?
大腸がん検診や人間ドックなどの検便で潜血反応が陽性を示し、二次検査の大腸内視鏡検査で診断される場合が最も多くなっています。便潜血反応陽性の方に大腸内視鏡検査を行うと、半数以上の方に腺腫が発見されます。便潜血陽性を指摘された方は、自覚症状がなくても放置することなく大腸内視鏡検査を受けていただきたいと思います。
治療方法は?
基本的に内視鏡を用いた切除が第一選択です。切除の方法は、従来からの通電による粘膜切除術(EMR)に加えて、近年は1センチ以下のポリープには通電しないコールドポリペクトミー(CSP)という安全性がより高い方法、2センチ以上の大きなポリープには粘膜下層剥離術(ESD)という方法が確立されています。がん化していても、転移するリスクのない早期のものであれば内視鏡で治癒切除可能です。