京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 副院長 生駒 和也「外反母趾」
2024/11/28 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「外反母趾」 足を圧迫する時間短く
武田病院 副院長 生駒 和也
原因、症状は。
外反母趾(ぼし)とは、足の親指(母趾)の付け根の関節が変形し、親指が小指側に向かって反る病気で、親指の付け根が腫れたり痛みを感じたりするなどの症状があらわれます。一番の原因は靴による圧迫にあります。男女比は1対9で女性が圧倒的に多く、先のとがった靴などを長時間履くことで爪先が圧迫され、外反母趾になりやすくなるのだと考えられます。また、閉経後の女性ホルモンの減少が足指の関節にも影響を及ぼすため、60代では2割程度ですが、70代で4割、80代で半分近くと、年齢が上がるほど外反母趾の人が増えることも特徴です。遺伝が原因の場合もあり、小学生の頃でなることもあります。
治療方法は。
靴に中敷き(インソール)を入れる方法があります。市販のものもありますが、整形外科では義肢装具士という専門職が型を取り、しっかりと足の形に合った中敷きを作ることができます。変形がかなり進んでしまった場合は手術になります。術後、歩けるようになるまで個人差はありますが1、2カ月を要します。なるべく手術が必要な状態になる前に対処できるよう、早めに受診しましょう。
日常生活で気を付けることは。
自分に合った靴を履くことが何より大切です。ただ圧迫せず楽な靴ならよいというわけではなく、適度に押さえて足の縦横のアーチ形状を保つことも必要です。また、家の中でははだしで過ごす、先のとがった靴は必要な時だけ履き替えるなどの工夫をして、足を圧迫する時間を短くするとよいでしょう。足指でタオルをつかむ「タオルギャザー」や、足指をグー、チョキ、パーと動かす体操なども足の機能維持につながります。全体重を支えている足への負担を軽減するため、体重管理も重要です。