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-高齢者の癌治療について考えをめぐらすー

2024/07/09 トピックス たけだ膠原病リウマチクリニック

2022年の始めのころだろうか、当院にご高齢(80歳以上、79歳の方3名を含む)の進行がん・再発癌の患者さんの受診が多くなってきました。その理由はよくわからないのですが、一般的に、生活習慣病等に打ち勝った長寿の方が、癌にかかられたのであろうと推察しています。

少し前の時代では、健康長寿を伸ばすためには、心筋梗塞、脳梗塞を予防すべく生活習慣病をしっかりコントロールすることが大切であったのですが、これらが克服されつつある今日では、癌の治療をしっかりすることが、健康寿命を延ばす要因になってきています。

 

さて、カルテをめくってみると最近2年間で13人の高齢者癌患者を当院で治療を受けていただいています(当院は本来比較的若い患者さんが多いのですが)。そのうち、この2年間で2人は癌死、1人は誤嚥性肺炎で亡くなられています。癌死の2人は、当院外来受診時にはすでに癌がかなり進んでおり、ほとんど何もしないうちに亡くなられておられます。もう1人の誤嚥性肺炎の方は、癌としては進行膵臓癌で治療経過良好中でしたが、肺炎になられたのはとても残念でした。

 

残りの現在も加療中の10名の患者さんも、当院初診時は、「他院でもう使う抗がん剤がない」、「ほかに治療法がない」ということで当院に来られていますので、初めから10名の中で7名はご自身の御希望で抗がん剤治療を受けられませんでした。3名の患者さんは、50%量の抗がん剤を受けておられます。

また、7人の患者さんは、当院で施行しているがん樹状細胞WT-1ペプチドワクチン療法を併用されておられます。50%量の抗がん剤を使われておられる方は、いずれも抗がん剤の副作用は強く認めず、良好な状態で生活されておられます。また、がん樹状細胞WT-1ペプチドワクチン療法は、当院で行っている自由診療の免疫療法ですが、これはハイパーサーミアとの併用効果が高いと考えられます。他の免疫療法(保険収載されているもの)等を併用できる方は、是非併用されるとよいのではないでしょうか。

1年前、2年前に、「治療法がない」と言われて、当院に来られた高齢者の進行がん患者さんは、現在も歩いて当院に通院し、多い方では月1回くらいのペースで国内旅行を楽しんでおられます。この10名の患者さんは、いずれもかなり進行した癌腫ですので、大変驚かされています。

2021年~2023年に当院に来院されて、治療方針をご相談しながら、元々の主治医の先生とも相談して治療方針を決めさせていただき、2024年7月現在まで、お元気に過ごされておられるご高齢の患者様を診ているとうれしくなります。

なんとか、100歳まで頑張っていただきたいものです。

武田病院グループ免疫遺伝子医療部門センター長 古倉 聡