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Iru miru 健康通信 武田総合病院 泌尿器科 部長 今村 正明 「前立腺手術後の尿漏れ治療」

2024/03/01 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


imamura_03.jpg武田総合病院 泌尿器科 部長 今村 正明
「前立腺手術後の尿漏れ治療」

 前立腺手術後の尿漏れとは?

 前立腺疾患の手術療法としては、前立腺がんでは前立腺全摘術、前立腺肥大症では経尿道的前立腺切除術を行います。これらの手術後に、お腹に力を入れると尿が漏れる腹圧性尿失禁を認めることがあります。大半は前立腺がん手術後に生じ、肥大症術後はまれです。尿漏れを防ぐ仕組みは、尿道周囲に存在する尿道括約筋や骨盤の支持組織が担っているのですが、手術によりこれらの組織が損傷を受けて機能低下を来すことで尿が漏れやすくなります。近年ではロボット手術により前立腺がん手術時の周囲組織の温存が容易となり、これが尿漏れを防ぐことにつながり、術後一年で90%の方がほぼ尿漏れがなくなると報告されています。一方で尿漏れに悩む方もおられ、生活に支障が出るケースでは治療が必要です。

 対策は?

 大きく分けて運動療法と薬物療法があります。運動療法としては、骨盤底筋体操と呼ばれる骨盤の筋力を鍛える運動を試みます。薬物療法としては、膀胱容量を広げるβ3作動薬や抗コリン薬、括約筋の収縮力を上げるβ2作動薬があります。しかし、効果はいずれも限定的です。尿漏れに最も効果的と言われているのが、人工尿道括約筋埋め込み術です。

 人工尿道括約筋埋め込み術とは?

 尿道の周囲にシリコーン製の人工尿道括約筋と呼ばれる機器を埋め込む手術です。普段は尿道を軽く締めることで尿を溜める働きをします。尿意を感じた時には、陰嚢に埋め込んだボタンのような装置で尿道を一時的にゆるめることができ、排尿が可能となります。その後、人工尿道括約筋は尿道を軽く締める状態に戻り、再び尿を溜めることができます。尿漏れが改善するだけでなく、尿意を感じたら排尿することもできるので、患者さんのメリットも大きく、術後3年で80%との長期に渡る高い満足度が報告されています。現在、当院でもこの術式を実施しておりますので、お悩みの方は一度ご相談ください。