【副作用の少ない"ハイパーサーミア"というがん治療】
2024/02/26 トピックス たけだ膠原病リウマチクリニック
副作用の少ない"ハイパーサーミア"というがん治療
ハイパーサーミアとは?
皆さんは、"ハイパーサーミア"という、がん治療法をご存じでしょうか?
切除不能がん、あるいは再発がんの治療法の1つとして、
「ハイパーサーミア(電磁波温熱療法)」があります。
このハイパーサーミアは、専用の電磁波加温装置を用いて
体内のがん組織を42℃以上にすることを目標に加温する治療方法です。
元々は「がん組織は熱に弱い」という特性を利用して開発された治療方法ですが、
化学療法や放射線療法との併用でそれらの治療効果を増感させることも
ハイパーサーミアの特徴です。
ハイパーサーミアの効果とは?
ハイパーサーミアの効果で明らかになっているものを整理すると
①がん組織を42.5℃に加温するとがん細胞は死滅する
②化学療法との同時期併用で化学療法の効果を増強し、また、
化学療法の耐性(がんに対する効果が無くなること)ができるのを遅らせること
③放射線療法との併用で、相乗効果があること
④原発巣を加温しておくと、そこからの転移を抑制できること
⑤がん免疫だけでなく、一般的な免疫力を高めることができること
などは、確実に認められます。
ハイパーサーミアを受けるタイミング
がんが見つかったときに、残念ながらすでに進行がんで手術適応がない場合や、
術後の再発がんに対しては、通常は化学療法や放射線治療ががんの種類や進行度によって選ばれます。
この治療初期からハイパーサーミアを併用することが治療効果により有効ですので、
がんと診断されたら速やかに一度当院を受診されることをお勧めいたします。
なお、ハイパーサーミアは全治療期間ではありませんが、保険診療が使えます。
受診される患者さんは増えていますが、なかには
「化学療法が効かなくなったので、ハイパーサーミアで治せますか?」
との問い合わせもあります。しかし残念ながら、このような場合は
手遅れのことが多いので、少しでも早く受診されることをお勧めします。
がんと診断されたら主治医からおおよその余命を言われることが多いですが、
それは年単位の場合が多いと思います。
また、ハイパーサーミアや免疫療法(当院で施行しています)を受けていると、
その余命を遥かに超えて生存される方が多く、時には根治される場合もあります。
ハイパーサーミアと化学療法の併用
私は自分自身、化学療法を長年行ってきた医師ですから化学療法を否定する立場ではありません。
ただ、あまりにもきつい副作用に耐えながら、日々を過ごしておられる患者さんをみていると
「これは正しいことなのか?」と思うようになり、
がん免疫療法の基礎研究や臨床研究に没頭するようになりました。
それに加えて、ハイパーサーミアは化学療法との併用効果があるので、
少しでも抗がん剤の量を減らせないかという思いでも研究を続けてきました。
進行がんと宣告されても、現在のがん治療の中には抗がん剤の副作用をできる限り少なくして、
がんの進行を止めることが期待できる治療法があることを知っていただきたいと思います。
武田病院グループ免疫遺伝子医療部門センター長 古倉 聡
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