京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 足の外科センター長 牧 昌弘「変形性足関節症」
2024/01/26 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「変形性足関節症」 捻挫の繰り返しや骨折が要因に
武田病院 足の外科センター長 牧 昌弘
症状、原因は。
足首の関節の軟骨が傷み、炎症を起こして痛みや腫れが出ます。膝関節症より少なく、約7割が若い頃に捻挫を繰り返した人や、骨折経験のある人です。捻挫を繰り返し、関節のかみ合わせが悪い状態が続くと、軟骨にかかる圧力が偏って徐々に変形し、10~20年後に症状が出てきます。また、骨折を経験すると、関節に変形が残る場合があり、関節症が進みます。初期は違和感や重だるさを感じ、症状が進むと歩き始めが痛みます。しばらくすると痛みがなくなり、また痛む、という繰り返しが数年単位で続きます。
治療方法は。
症状が軽い場合は、関節周りのリハビリやトレーニングを行います。リハビリでも治らない捻挫癖に靱帯(じんたい)修復術を行います。骨折後の人は筋力をつけ、関節の柔軟性を高めたりします。中等度になると、自由診療の注射治療のほか、関節の傾きを修正する手術も選択肢に入ります。これは、残っている軟骨に負担がかからないように、脛骨(けいこつ)を切って重心を変える手術です。重度では、残っている軟骨が少ないため、足関節の動きを維持できる人工関節の手術か、人工関節が入れられない人は、関節を固定する手術を行います。関節を固定した後もほとんどの仕事は続けることが可能です。
生活の質を上げるには。
まずは関節症にならないように、捻挫を繰り返すなどして痛みがある人は、整形外科を受診して対処方法を知ることです。治療は一人一人の生活やニーズに合わせて選択します。最初は筋力をつけたり、装具で足首を固めたりして保存治療を試みます。それでも満足のいく改善が見られず、リスクを理解した上で希望される場合に、手術をします。診療は、患者さんの社会活動を支える立場で、価値観に寄り添う姿勢が大切だと考えています。ぜひためらわず受診してみてください。