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Iru miru 健康通信 山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一 「高血圧を侮るな―朝目覚める度に」

2023/12/08 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


tamakidr_01.jpg山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一
「高血圧を侮るなー朝目覚める度に」

 

 普段よく耳にする生活習慣病の一つに高血圧があります。心臓が収縮して血液が全身に押し出される時に動脈の血管壁が押される力を収縮期血圧、心臓が拡張した時の血管壁にかかる圧を拡張期血圧といいます。血圧測定には診察室で測る「診察室血圧」と家庭で測る「家庭血圧」があり、正確な評価には「家庭血圧」が重視されています。診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上を高血圧とガイドラインで定めています。高血圧の約90%は生活習慣や体質などが原因とされる本態性高血圧です。残りの約10%は腎臓病やホルモン異常などの病気が原因となる二次性高血圧で、病気が治ると改善します。一般に血圧は1日では朝に、1年では寒い冬に高くなります。高血圧は自覚症状がないことが多く、知らないうちに心臓や血管に大きなダメージを与え、気が付いたら、狭心症・心筋梗塞、心不全、脳卒中、腎不全など重篤な病気になっていたという事態を招きます。高血圧が別名「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と言われる理由です。

 

 

 時折、有名人が「急性大動脈解離」で亡くなられたとの報道にふれることがあります。この「急性大動脈解離」も高血圧の合併症の一つです。大動脈は外膜、中膜、内膜の3層構造となっていますが、なんらかの原因で内膜に裂け目ができ、中膜の中に血液が入り込んで長軸方向に大動脈が裂ける病気です。特に60歳以上の男性に多く、一部はMarfan症候群など遺伝性疾患で起こりますが、高血圧と密接に関連しています。突然、胸あるいは背中に杭が刺さるような激痛が起こり、胸から腹、さらに脚へと下向きに移って行くのが特徴です。裂けた箇所や進展によって心臓、脳、腸管、腎臓、下肢などの虚血症状を引き起こし、突然死も起こりうる急性期予後不良な疾患です。

 

 

 このような合併症を起こさないために高血圧を侮ってはいけません。毎朝、目覚めたら、朝食までの間に2度「家庭血圧」を測定しましょう(可能なら朝と晩)。高血圧の予防と治療への第一歩です。