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「第10回京滋骨を守る会講演会」を開催

2023/12/07 レポート 医仁会武田総合病院

骨の大切さを学び・伝える輪を広げていく

 

 第10回「京滋骨を守る会講演会」(主催:認定NPO法人京滋骨を守る会、後援:公益財団法人骨粗鬆症財団)が11月25日、京都市上京区のKBSホールで開催されました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、同ホールでの開催は4年振りです。当日は多くの参加者が集まり、骨の病気やホルモンの影響、そして予防のための運動や食事など幅広く学びました。

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冒頭挨拶

 冒頭挨拶に立った医仁会武田総合病院リハビリテーションセンターの松末吉隆センター長(京滋骨を守る会理事長)は、「骨粗鬆症は自覚症状に乏しいため『沈黙の疾患』とも呼ばれています。具合が悪くなってから治療をはじめるのは良くありません。適正な栄養摂取と運動、そして適切な治療を受ければ骨折は予防できるのです。本会の主旨は市民の方が主役になって骨折予防の輪を広げていくことです。会場のお一人おひとりが5人10人と輪を広げることで、骨の大切さがその分浸透していくと思います」と会場に呼びかけました。

 

 

第1部「ピンピンころりはみんなの願い ~骨卒中を予防しよう~」・健康体操・骨密度測定

 第1部は山陰労災病院の萩野浩副院長が登壇し、「ピンピンころりはみんなの願い ~骨卒中を予防しよう~」と題する講演が行われました。

 萩野副院長は、「股の付け根を骨折した高齢者の5人に1人が1年以内に亡くなっています」と衝撃的なデータを披露すると、会場からは驚きの声があがりました。「こうした死亡リスクや寝たきりになる危険性から『骨卒中』という言葉が使われるようになりました」と経緯を説明。その予防には骨粗鬆症の早期発見と治療が重要であることを語りました。

 また、「転倒は寝たきりの大きなリスクになります。高齢になっても、前後の移動は意外と転ばないのですが、横移動が問題です。足を交差する際に転倒しやすい」と、医学雑誌ランセットの論文データとともに、実際に転倒する様子を動画で披露しました。この予防には片足起立の能力が重要であるとし、開眼片足立ち運動等を紹介しました。

 

 続いて、医仁会武田総合病院疾病予防センターの今井優科長(健康運動指導士)が健康体操を実演。会場の座席を利用した片脚立ち体幹運動など、いくつもの健康運動を実演し、軽妙なトークで笑いを誘いながらフロアの全員が運動を実践しました。

 

 

 また会場内で行われた骨密度測定の結果の見方を補足説明するため、休憩時間に同院の森田陸司名誉院長(京滋骨を守る会前理事長)が登壇し、DXA骨密度測定の解説と医療機関の受診について丁寧に解説しました。

 

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第2部「なぜ骨粗鬆症になるのか? ~ホルモンから骨の健康を考える~」

 第2部は京都市立病院内分泌内科の小松弥郷部長が登壇し、「なぜ骨粗鬆症になるのか? ~ホルモンから骨の健康を考える~」と題する講演が行われました。

 小松部長は、骨からカルシウムが溶出するのを抑制する女性ホルモンの働きについて説明され、そのうえで「男性ホルモンはアロマターゼという酵素を使って自由に女性ホルモンに変換されます。この意味で、男性も骨密度を決めるのは女性ホルモンということになります」と語りました。

 また、副甲状腺機能亢進症の男性の症例をとりあげ、「骨密度が異常に低いので調べてみると、腎結石があってカルシウムが高い。そして副甲状腺が腫れていました」とし、骨・カルシウムの量を制御する副甲状腺ホルモンの働きを解説され、「副甲状腺ホルモンが多過ぎると骨粗鬆症になります」と骨の断面モデルを紹介しました。

 講演の締めくくりはクイズです。小松部長がこれまでの解説をクイズで出題すると来場者は笑顔で挙手するなど、会場が一体となった講演となりました。

 

 

質疑応答

 最後のプログラムは医師、健康運動指導士、管理栄養士ら専門家が会場の質問に答える質疑応答です。会場からは、骨粗鬆症の治療薬や栄養摂取など次々と質問が寄せられ、登壇者は事例を挙げながら答えるなど大盛会となりました。