Iru miru 健康通信 たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世 「シェーグレン症候群」
2023/11/17 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世
「シェーグレン症候群」
どんな病気なの?
シェーグレン症候群は、涙腺と唾液腺の慢性炎症による涙液および唾液の減少を主症状とする自己免疫疾患で、膠原病の一種です。男女比は1:18と女性に多く50歳台に発症のピークがあり、潜在的な患者さんを含めると全国で数十万人とも推定されています。原因はまだ不明の点が多いですが、遺伝的素因とウイルス感染などの環境因子を基盤に唾液腺や涙腺に対する自己免疫が生じ、炎症細胞が浸潤して腺萎縮や線維化をきたし分泌が障害されると考えられています。
症状は?
涙液と唾液の分泌低下による乾燥症状(腺症状)が主な症状です。眼がごろごろひりひりするなどのドライアイ症状(乾燥性角結膜炎)と、口が渇く、水なしで食事がしにくい、虫歯が増えたなどの口腔乾燥症状を訴え、耳下腺の有痛性腫脹をきたすこともあります。一部には、関節痛、紅斑や紫斑、レイノー現象、肺病変、腎病変、慢性甲状腺炎などの臓器病変(腺外症状)が見られることがあります。また、関節リウマチや他の膠原病に合併してみられることも多く、二次性シェーグレン症候群と呼ばれます。まれに悪性リンパ腫が合併することが知られています。
どんな治療?
乾燥症状に対する対症療法が治療の中心です。ドライアイに対しては、涙を補い角膜を保護する人工涙液や精製ヒアルロン酸点眼薬、水分とムチン分泌を促進するジクアホソル点眼薬やレバミピド点眼薬を1日5~6回点眼します。症状が強い時には眼科に依頼して涙点閉鎖術を行うこともあります。また口腔乾燥に対しては、唾液分泌を刺激するセビメリン塩酸塩やピロカルピン塩酸塩を内服します。胃腸症状などで服用困難な時は、水に溶かしてうがいすることで効果が発揮されることもあります。重症の臓器病変を合併する時にはステロイドや抗リウマチ薬、免疫抑制薬が必要となる場合があります。
シェーグレン症候群の予後は比較的良好ですが、進行すると薬が効きにくく日常生活に支障をきたすため、気になる症状があれば専門医への受診をお勧めします。