京都新聞朝刊 医療のページ 十条武田リハビリテーション病院 皮膚科部長 米田 耕造「いぼ治療」
2023/09/01 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「いぼ治療」 白っぽい感染症 受診早めに
十条武田リハビリテーション病院 皮膚科部長 米田 耕造
いぼの種類。
摩擦や紫外線、加齢などの影響で生じる皮膚のブツブツと、ヒトパピローマウイルス(HPV)の肌への感染で生じるいぼには明確な違いがあります。皮膚に微細な傷ができるとそこからウイルスが侵入して感染し、数カ月かけていぼになります。原因となるウイルスの型によっていろいろな種類がありますが、最も多い尋常性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれるいぼは、直径数ミリメートルから1センチくらいで少し盛り上がっていて、肌色から白っぽい色をしています。
診断は。
感染性のいぼは痛みやかゆみなどの自覚症状がないため、加齢や肌荒れによるものと思って放置してしまう人もいるかもしれません。しかし、放っておくと感染が広がって数が増えたり、治療に長期間を要することがあります。周囲の皮膚より白っぽく少し盛り上がったいぼを見つけたときは、早めに皮膚科を受診してください。熟練した皮膚科医なら、見た目の違いですぐに診断がつきます。
治療と予防は。
発生した部位やウイルスの型ごとに、医師が効果的な治療法を選択します。ヨクイニンエキス剤などの飲み薬や、塗り薬もありますが、これらで改善しない場合は凍結療法が一般的です。綿棒の先に液体窒素を染み込ませ、患部に押し当てていぼを凍結させて除去します。少し痛みを感じますが、麻酔は必要ありません。いぼが大きい場合は、局所麻酔をして切除や電気凝固などを行います。治療にかかる期間は大きさや種類によってさまざまで、一度で完治せず根気強い治療が必要になることもあります。皮膚には目に見えない小さな傷があり、そこからウイルス感染します。ウイルス性のいぼかもしれないと思ったら、素手で触れないことが大事です。また、いぼを触った手で他の部位を触るのもやめましょう。