Iru miru 健康通信 十条武田リハビリテーション病院 泌尿器科 顧問 寺地 敏郎 「加齢男性の身体・精神症状の緩和のために」
2023/06/16 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
十条武田リハビリテーション病院 泌尿器科 顧問 寺地 敏郎
「加齢男性の身体・精神症状の緩和のために」
男性更年期障害とは?
男性ホルモン(主にテストステロン)は20〜30代をピークに徐々に下降して行きます。テストステロンの減少は性欲減少や勃起障害といった男性機能障害だけでなく、女性の更年期症状に似たほてり、発汗、筋肉量・筋力の低下と体脂肪の増加、骨塩量の減少などの身体症状に加え、認知能・記憶力・集中力の低下、倦怠感・疲労感、睡眠障害、うつ傾向などの精神症状も引き起こします。活動意欲の低下はさらにbody mass index(BMI)や腹囲の増加、高血圧、脂質異常症など、いわゆるメタボリックシンドロームの原因にもなります。テストステロンの低下を伴うこのような症状を男性更年期障害と呼びます。
男性更年期障害の診断と治療は?
男性更年期障害が疑われる方は、一度血液中のテストステロン濃度を調べてみることをお勧めします。総テストステロン値が低い場合には、さらに遊離テストステロン値の下降を確認し、2~4週毎のテストステロンの筋肉内注射の適応を検討します。その他、勃起不全の治療薬や漢方薬、運動療法や食事療法の指導といった治療も行います。また、テストステロンの低下はインスリン抵抗性を増して糖尿病を発症しやすくします。2型糖尿病の患者さんではテストステロンの補充が血糖値を改善し、メタボリックシンドロームの予防・改善に有効なことがあります。うつ病の方には心療内科、精神科の先生と協力して治療にあたることになります。
現役時代は泌尿器がんの治療、腹腔鏡・ロボット支援手術を主に専門としてきましたが、歳を取るとともに自ら必要性を感じ日本メンズヘルス医学会に入会、テストステロン治療認定医を取得しました。そしてこの度、十条武田リハビリテーション病院で男性更年期外来を開設しました。皆さんの悩みに一緒に取り組んでいきましょう。