Iru miru「健康通信」に三森所長の記事が掲載されました
2023/05/26 メディア たけだ膠原病リウマチクリニック
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
膠原病とは?
膠原病は一つの病気を指す言葉ではなく、原因不明の全身に炎症を起こす病気の総称です。外からの異物を排除する免疫の力が自分自身に向いてしまうために起きる病気(自己免疫疾患)と考えられています。また、関節の痛みをきたす病気をリウマチ性疾患と呼びますが、膠原病とリウマチ性疾患は密接な関係にあります。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多発動脈炎は代表的な膠原病で、他にシェーグレン症候群、混合性結合組織病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、ANCA関連血管炎、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、ベーチェット病など、さまざまな病気が膠原病の仲間と考えられています。
原因は?
真の原因は不明ですが、病気の発症メカニズムが次第に分かってきています。遺伝する病気ではありませんが、病気に関連する多くの遺伝子が見つかっています。また、感染や紫外線、性ホルモン、喫煙などの環境因子が発症に関与すると考えられ、最近では腸内細菌や歯周病との関連も指摘されています。これらのさまざまな要因により、免疫細胞が異常をきたして自分自身を攻撃する自己免疫が生じ、炎症に関わるサイトカインと呼ばれる分子の活性化により、全身の炎症が引き起こされると考えられています。
治療は?
多くの膠原病の治療には炎症と免疫を強力に抑えるステロイド(グルココルチコイド)を用います。ステロイドの効果が十分でない時や、副作用などでステロイドを減らしたい時には免疫抑制薬を併用します。免疫抑制薬には多くの種類があり、病気・病態によって使い分けられます。最近は病気のメカニズムに基づく新しい治療が開発されています。特に関節リウマチでは炎症性サイトカインをピンポイントで制御する生物学的製剤やJAK阻害薬と呼ばれる分子標的薬が開発され、非常に大きな成果を上げています。これらの分子標的療法はリウマチ以外にも適用が広がり、膠原病の治療は近年大きく進歩しています。