京都新聞朝刊 医療のページ 武田総合病院 乳腺センター長 稲本 俊「乳がん」
2023/02/27 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「乳がん」 月に1回、乳房チェックを
武田総合病院 乳腺センター長 稲本 俊
検査方法は。
乳がんは乳腺組織にできるがんで、検査は主にマンモグラフィーと乳腺エコーの二つがあります。マンモグラフィーは乳房を挟んでレントゲン撮影する検査で、病変にカルシウムが沈着した石灰化が微細なものまで見え、早期のがんをよく見つけることができます。乳腺エコーは組織の超音波の反射状態を調べる検査で、腫瘍があれば反射が少なくなり黒く映ります。断層面の画像を見る検査なので周りの組織の影響を受けにくく、小さな病変も分かる一方、石灰化は発見しにくいという欠点があります。
治療は。
手術に加えて抗がん薬・ホルモン療法薬などによる薬物治療が基本です。温存した乳房への放射線治療も再発予防のために行われています。薬物療法は乳がんの性質や進行度により、ガイドラインに沿った治療が行われます。術前薬物療法といって、薬を投与して効果を見てから手術する方法もあります。術前・術後の薬物療法によって、生存率が改善し、再発率も下がっています。治療後は定期的に診察を受けて、再発しても早期に見つけられるようにすることが大切です。
早期発見のため注意すること。
最も大切なことは、セルフチェック(自己検診)による早期発見です。月に一度は自分で乳房を見たり触ったりして、しこりや異常がないか確認しましょう。異常がなくても40歳を過ぎたら2年に1回、自治体などが実施している検診を受けてください。なお、乳がんのうち遺伝性のものは約7~10%といわれていますので、親族に乳がんや卵巣がんになった人がいるなら、若い時から専門の病院で検診を受けるのが良いでしょう。乳がんは自分自身で見つけられるがんです。乳房の違和感や気になることがあったら、検診の結果にかかわらず、専門の病院を受診してください。