京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 整形外科部長 小見山 洋人「変形性膝関節症」
2022/11/26 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「変形性膝関節症」 手術せずに治す再生医療も
武田病院 整形外科部長 小見山 洋人
原因、症状は。
加齢やスポーツなどによって膝のクッションである半月板や軟骨にダメージが蓄積し、軟骨がすり減って痛みや変形が発生します。初期では階段昇降や、立ち上がりなど動き始めの一歩に痛みを感じます。進行すると、歩く時だけでなくじっとしていても痛くなったりします。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら少しずつ悪化していく人が多く、傷んだ軟骨や半月板が元通りになることはありません。
治療は。
保存治療と手術治療があり、保存治療ではリハビリテーションや、ヒアルロン酸の関節内注射、鎮痛剤の投与などが主になります。リハビリテーションは太ももの筋肉をつけて膝の負担を減らすことが目的です。痛くて歩くのが困難な人にはプールでのウオーキングなど、痛みを伴わない訓練から徐々に導入します。ヒアルロン酸の注射は炎症を抑え軟骨を保護する働きがあります。十分に保存治療を行っても効果がない場合、骨切り術や人工関節などの手術治療を考慮します。
治療の選び方は。
膝の状態や本人の意向に合わせ考えます。変形が進行しているからといってすぐに手術が必要になるわけではありません。まず保存治療を十分に行います。リハビリテーションは効果の高い治療ですが、家庭での自主訓練も含め継続して行うことが大切です。骨切り術などタイミングが重要な手術治療もあり、保存治療の効果判定をしながら相談して決めていきます。自由診療になりますが、手術せず治す再生医療もあります。自身の脂肪から取り出した細胞を利用する脂肪由来幹細胞(ASC)治療と呼ばれる方法で、スポーツのために手術を避けたい人などに選ばれています。いろいろな選択肢があるので、ぜひ歩けなくなる前に受診してください。