京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 不整脈治療センター長 垣田 謙「不整脈」
2022/10/28 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「不整脈」 脈を記録すれば診察時に便利
武田病院 不整脈治療センター長 垣田 謙
不整脈とは。
心臓は筋肉でできており、微弱な電気刺激によって拍動を繰り返しています。この電気の流れに異常を来し脈が乱れる状態が不整脈です。標準より遅い徐脈、早い頻脈に分けられ、頻脈の一種である心房細動は80代以上の10%が罹患(りかん)するといわれています。徐脈は血流が落ち心拍数が下がるので疲れやすく、目まいやふらつき、場合により意識を失うこともあります。頻脈は動悸(どうき)や息苦しさ、目まいが表れ、どちらも進行すると重篤な心臓病の原因となります。
検査は。
発作時の心電図を記録し、不整脈の種類を調べます。発作時の心電図が記録できない場合は生活をしながら24時間計測する心電図や携帯型の心電図を用いて発作時の心電図記録を行います。最近は血圧計に心電図が記録できるものや常時身に着けられる時計型などのウエアラブル端末も精度が高くなっています。どのような方法でも、検脈をし記録を残しておくと診察時に便利です。
治療は。
徐脈の場合は軽症なら様子を見ますが、症状の強い方はペースメーカーを埋め込みます。これまでは皮下組織に埋め込むタイプが一般的でしたが、最近はリードレスタイプなど心内に植え込み、体表に傷が残らないものがあります。頻脈の治療は、内服治療や血管にカテーテルを通し、高周波通電を用いて異常な部分を焼き切る、カテーテルアブレーション治療があります。最近ではカテーテル治療を第1選択することも多く、頻脈治療の主流になっています。コロナやワクチンと不整脈の因果関係は明らかではないですが、不整脈の持病があって増悪する方、副反応で不安になり不整脈が誘発される方はまれにいます。ストレスを感じ自律神経が乱れると、不整脈が起こりやすいので、気になる症状があれば循環器内科を受診してください。