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Iru miru 健康通信 武田総合病院 泌尿器科 部長 寒野 徹 「骨盤臓器脱とその治療」

2022/09/23 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


kannodr01_s.jpg武田総合病院 泌尿器科 部長 寒野 徹

「骨盤臓器脱とその治療」

 骨盤臓器脱とは?

 骨盤臓器脱は、女性の骨盤内臓器(膀胱、子宮、直腸、小腸など)が、膣から膣壁ごと脱出する疾患です。原因としては、経腟分娩、閉経、肥満、便秘など様々な要因により、骨盤底を支える構造に破綻をきたして生じると考えられています。おもな症状は「股間になにか触れる」「股間にピンポン玉のようなものがはさまっている」というものです。おなかに力がかかった時や午後に症状がきつくなることが多いです。重症になると、排尿障害、水腎症、びらん、出血などをきたします。頻度は多く、お産を経験した女性の3人に1人とも言われています。

 どのような治療ですか?

 骨盤臓器脱の保存的治療として、骨盤底筋体操や膣内装具(ペッサリー)などがありますが、保存的療法では改善しない症例、ペッサリーによる合併症(感染、出血、びらん、違和感など)を生じる症例では手術療法を行うことが勧められます。手術療法としては、従来手術(native tissue repairと呼ばれるもの)や経腟メッシュ手術(TVM)がありますが、再発や合併症などの問題があると報告されています。一方腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)は、骨盤臓器脱の原因である脆弱化した骨盤底に対して、メッシュと呼ばれる医療用人工繊維を用いて腹腔鏡にて骨盤底を補強再建します。欧米では現在主流の手術治療で、本邦でも2016年4月に保険適応となりました。泌尿器科や婦人科で手術を行います。手術自体は3-4時間前後かかりますが、出血も少なく術後の回復はとてもスムーズで、術後の違和感もわずかです。入院期間は当院では1週間から10日です。

 お悩みの方へ。

 骨盤臓器脱は治すことのできる疾患です。骨盤臓器脱で悩み我慢している今の生活から解放され、温泉や旅行、趣味などを再開し、より良い生活を送ることが可能になります。この手術を受ける方の大半が60歳~80歳代であり、高齢だからという理由で手術をあきらめる必要はありません。まずは専門医に相談いただくことが大切と思います。