Iru miru 健康通信 十条武田リハビリテーション病院 リウマチ科 部長 益田 郁子 「リウマチ」
2021/12/24 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
十条武田リハビリテーション病院
リウマチ科 部長 益田 郁子
「リウマチ」
関節リウマチ(RA)は自己免疫疾患のひとつで、我が国での患者数は約82万人と推定され、関節に炎症(痛みや腫れ)をきたす最も身近な病気です。男女比は1対3.2と女性に多く、発症は40~50代がピークですが、子供のRAもあり、最近は65才以上で発症する高齢発症RAも増えています。
RAは関節を裏打ちする滑膜という組織に炎症が続き増殖します。そのため関節の腫れ・痛みが慢性的に続き、放置するとサイトカインという炎症物質が関節の軟骨や骨を破壊して、やがて関節変形や拘縮・強直など機能障害を起こすことになります。RAは典型的には手首・手指や足趾など小さい関節に対照的に多関節炎をきたし「朝のこわばり」が生じますが、高齢の方は膝など大関節から起こることもあります。RAの原因は完全にはわかっていませんが、遺伝的体質に環境要因が重なって免疫機能に異常をきたし、発症すると考えられています。環境因子では、喫煙や歯周病がRAの発症や進行に関与するようです。
治療薬の進歩によりRAの早期診断・早期治療ができれば、多くの患者さんの炎症や痛み、関節破壊の進行を抑え仕事や生活に支障のない状態にすることが可能になってきました。抗RA薬の進歩はめざましく、患者さんの8割が使っているメトトレキサート(MTX)という免疫抑制剤に加え、2003年からは炎症サイトカインを標的に抑制する生物学的製剤(バイオ)が国内で認可されました。今では8つのバイオ(注射薬)と、バイオと同等に有効な内服薬の低分子標的薬が5つ、MTXが効果不十分あるいは使えない患者さんの治療薬として認可されています。京都では3~4割の患者さんがこうしたバイオや低分子標的薬を使用しています。これらは医療費自己負担が高額なのが難点ですが、バイオ後発品もでており様々な医療費補助制度もあります。積極的治療を迷う間に関節が壊れたら外科手術で治すことにもなりかねず、損失が大きくなることもあります。RAの治療は多様化しており、患者さんを中心に、内科・外科の連携や薬剤師・看護師・理学療法士など、チームで安全・有効に治療していくことが大切です。RAかな?と思ったら専門医・専門スタッフのいる医療施設を早期に受診することをお勧めします。