京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 循環器センター長・心不全センター長 木下 法之「心不全」
2021/06/28 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
「心不全」 むくみや息切れは注意信号
武田病院 循環器センター長・心不全センター長 木下 法之
循環器系統の救急搬送で多いのは。
最も多いのは心不全です。心不全とは、血液を循環させる心臓のポンプ機能が低下することです。高血圧や不整脈、弁膜症、狭心症などの基礎疾患が原因となり、それに伴い増悪することが多く、また加齢やストレスによってもリスクが高まります。
症状と治療は。
主な症状は動悸(どうき)や息切れ、足がむくむ、食欲低下などです。悪化すると、ピンク色の痰(たん)が出たり、肺に水がたまり横になると呼吸が苦しくなるため、眠れない場合もあります。顔のむくみや1週間に2キログラム以上の急激な体重の増加、安静時での息苦しさ、脈拍が120以上あるといった症状がある場合はすぐに入院治療が必要です。心不全の特徴は、慢性化しやすいことです。急性増悪の入院を繰り返すごとに心臓の機能や身体能力が低下し、治療が困難になっていきます。そのため、われわれは再発をなるべく少なくする治療を行います。治療は薬剤投与で心臓のポンプ機能を助けて悪化を食い止め、基礎疾患を治療しながら、回復後のリハビリも含めて元通りの生活に戻れるようにしていきます。循環器専門医をはじめ看護師、薬剤師やリハビリテーションスタッフ、管理栄養士などがチームとなり、循環器系のトラブルを横断的に診て集約した治療と息苦しさのストレスを和らげる心不全モデルの緩和ケアを並行して行っています。
予防法は。
適切な水分を摂取しつつ、暴飲暴食は控えてください。特に基礎疾患をお持ちで75歳以上の人は普段から注意し、むくみや息切れを感じたら早めに医師に相談してください。定期健診結果から、血圧異常などで必要な精密検査は受けてください。原因になる疾患を治すことで心不全になりにくくなります。