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京都新聞朝刊 医療のページ 武田病院 脳卒中センター 部長 定政 信猛 「出血性の脳疾患」

2020/11/26 メディア 武田病院グループ

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


202011_01.jpg武田病院 脳卒中センター 部長 定政 信猛 「出血性の脳疾患」

開頭しない手術 増える傾向

原因は。

出血性の脳疾患は高血圧と非常に深い関わりがあり、脳内出血やくも膜下出血などが挙げられます。血圧が高くなると、血管が破綻して脳に血液が流入することで発症します。特に冬は気温による血管収縮、食事量の増加と運動不足、飲酒機会の増加などが原因で血圧が上がりやすくなります。

症状と治療方法は。

脳内出血は手足のまひや失語といった症状があります。比較的小さな出血であれば血圧を下げたり、止血剤を投与します。大きな出血の場合は、従来の開頭術以外に、最近では内視鏡を使用して止血を行う手術が増えています。手術時間が4分の1程度に短縮され、結果はほとんど変わりません。一方、くも膜下出血は脳動脈瘤(りゅう)が主な原因で、激しい頭痛や意識障害、嘔吐(おうと)などの症状が突然起こる怖い病気です。治療は破裂している瘤(こぶ)を金属で挟み込んで止血するクリッピング術と、血管の中からカテーテルを入れて瘤の中にコイルを詰めるコイル塞栓(そくせん)術があります。コイル塞栓術は開頭しないために体への負担が軽く、主流な治療法になりつつあります。

合併症、予防について。

いずれも後遺症が残る可能性が高い病気です。くも膜下出血は、発症後2週間以内に脳の血管が縮む脳血管攣縮(れんしゅく)や、それ以降に起きる正常圧水頭症などの合併症リスクがあるため経過観察が欠かせません。また、一度くも膜下出血になると、他の脳血管にも動脈瘤ができる可能性があり、半年から1年に1回は経過を見るために画像検査が必要です。出血性脳疾患は前兆がほとんどないため、日頃から血圧のコントロールや禁煙、飲酒を控えることが重要です。また、家族に動脈瘤の既往歴がある方は、無症状の内に検査をすることをお勧めします。