「地域医療連携CAD・PAD学術講演会2020」を開催しました。
2020/02/08 インフォメーション 武田病院
●心不全パンデミック対策が大きなテーマ
~密接な連携を深め地域医療の向上へ~
武田病院グループと地域の開業医の先生とで、循環器領域の最新知見について研修する「地域医療連携CAD・PAD学術講演会2020」(康生会武田病院、下京西部医師会、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社、第一三共株式会社・共催)が2月1日、TKP京都駅前カンファレンスセンターで開催されました。
当日は京都市内の開業医の先生ら医療関係者49名が出席。熱心に講演に耳を傾け、意見交換を行いました。
開会にあたり、康生会武田病院の武田純院長は、新型コロナウイルスの状況、そして米国でパンデミックとなっているインフルエンザの様相について触れながら「当会は心不全のパンデミックを防いでいくことが大きなテーマです。今日は最新の知見に触れ、活発なご討議を頂きながら、地域の開業医の先生と当院が密接な連携を深める1日になればと思います。どうぞ宜しくお願いします」と挨拶しました。
続いて基調講演に移り、康生会武田病院循環器センターの木下法之部長が登壇。「CADの最新の話題」との演題で講演しました。
木下部長は、「最近のデータでは、ACS(急性冠症候群)の成因となるプラーク破綻(rupture)は意外と少なく65~75%と言われており、残りが、プラークびらん(erosion)、石灰化結節(calcified nodule)が血管の中に出てこれが詰まるケースです」とし、それぞれの病態の詳細を解説しながら石灰化が問題であることを強調。血管内治療として『Rotablator』や『Diamondback』などの最新デバイスを取り上げ、動画を交えながら説明しました。
またPCI後の抗血小板療法について新しいガイドラインを紹介し、「地域医療支援病院として当院は、患者さん、地域の先生方のお役に立てるよう、協力して治療に関わっていきたい」と語りました。
特別講演Ⅰでは、関医院内科・循環器科の関透院長が座長を務め、康生会武田病院不整脈治療センターの垣田謙センター長が「アブレーションニューデバイスの展望」と題し講演しました。
垣田センター長は、リズムコントロールの有用性、心房細動に対するアブレーション治療と問題点を解説。そのうえで、左心房の筋肉にしかエネルギーを与えず食道に影響を与えない『Electroporation』や電極が256もある風船を膨らませて選択箇所を一度に焼くことができる『Glove』など新しいデバイスを次々と紹介しました。
講演の締め括りに垣田センター長は「アブレーション治療が、標準治療として地域に広まり、心房細動でお困りの先生方に貢献できるよう努力してまいります」と会場に語りかけました。
特別講演Ⅱでは、循環器内科・内科 まつばらクリニックの松原欣也院長が座長を務め、康生会武田病院循環器センターの中村玲雄副部長が「循環器内科医が実施する下肢静脈瘤に対する高周波焼灼術 ~術後のDVT・EHITに対する抗凝固療法も含めて~」と題し講演しました。
中村副部長は、下肢静脈瘤の疫学を紹介したうえで高周波灼熱術について詳細を説明。「合併症としてDVTが0.01%~0.1%、PEも0.01%~0.1%、そしてEHITが0.01~10%と、合併症自体は頻度が少ないと言われています。また、術後のフォローアップとして、焼いた部分の血栓が深部静脈にせり出していないか、治療後72時間以内と1ヶ月後の2回、エコーで必ずチェックしています」と語り、RAF(経皮的ラジオ波焼灼療法)の治療成績(閉塞率)が3年で93%、5年で91.9%と好成績であることを紹介しました。
閉会挨拶で下京西部医師会の小笠原宏行会長は、「康生会武田病院さんにはいつも良い対応をして頂き助かっています」と親密な連携によって地域医療の向上につながっていることを強調。そして、下京西部医師会開発の「ITを使った診療連携システム・診療連携カード」について説明しながら「武田病院さんの協力もあって登録される先生が増えてきています。是非、より多くの方に参加して頂きたい」と会場に呼びかけました。