「第6回脳卒中にならないために市民公開講座」を開催いたしました
2019/12/02 インフォメーション 武田病院
康生会武田病院は令和元年11月9日(土)、下京区のしんらん交流館大谷ホールで「第6回脳卒中にならないための市民公開講座」を開催しました。当日は、患者さんやそのご家族、医療従事者ら約150人が集まり、脳卒中への知識を高めるため講演に耳を傾けました。
康生会武田病院の八木秀雄院長代理は冒頭の挨拶で、「お陰様で6回目となる本日は、さまざまな専門分野の先生方が講演やシンポジウムで、脳卒中の予防や食事療法、治療などについて解説いたします。シンポジウムの後には質問コーナーもございますので、ご意見、ご質問など積極的に出してください」と会場に呼びかけました。
公開講座は3部構成で、第1部は石川医院 石川光紀院長が座長を務められました。最初は、康生会武田病院脳神経内科の渡邊裕子副部長が「高齢者の卒中予防」と題して講演しました。「過度な減塩はかえって腎臓に負担をかける」「腹式呼吸は自律神経をリラックスさせて血圧を安定させる」「運動は血管内細胞の老化を防ぎ認知症予防にもなる」など血管内細胞の老化を防ぎ、血流を改善することが大切だと呼びかけました。
続いて「長生きする食べ方~上手に食べて肺炎予防~」と題して、十条武田リハビリテーション病院脳神経外科の久保洋昭部長が講演しました。65歳以上の死因第3位でもある肺炎の3割を占める誤嚥性肺炎に注目し、「食べ物を飲み込む嚥下能力が低下することで誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。誤嚥防止のストレッチや筋力体操で力をつけ、食べ物の後にお茶を飲むなど口に入れたものを確実に食道へ送り込むことが肝要です」と誤嚥性肺炎の予防について訴えました。
第1部の最後は、康生会武田病院脳神経外科の定政信猛部長が「くも膜下出血~怖い頭痛はこんな頭痛~」と題して講演しました。中でも突然の激しい頭痛が特徴的なくも膜下出血について、「脳動脈瘤は脳ドックなどで発見することができます。早期発見・早期治療をするためにも脳ドックを受診しましょう。急激な激しい頭痛が起こった場合、血管内治療が可能な病院を選んでください」と早期発見・早期治療の重要性について強調しました。
休憩の後、青木医院の青木淳院長が座長を務められた第2部では、「良縁(塩)を引き寄せるお塩の使い方」と題し、康生会武田病院管理栄養士の村上英都子栄養科長が講演しました。一日の食塩摂取量の目標値が平均6.0グラムであることから、「カップ麺やうどん・そばなどの汁は飲み干さないようにしましょう」「山椒や七味、ゆず胡椒など食塩量が少ない調味料に変えましょう」「小鉢の野菜料理をもう一皿プラスしよう」など、少しの工夫が脳卒中予防につながると述べました。
続いて「脳卒中にならないための服薬のコツ」と題して、康生会武田病院の松田貴臣薬剤師が講演し、多くの薬を飲むことによって健康や治療に悪影響が出るポリファーマシーについて解説しました。「飲み間違いや予期せぬ副作用などを起こさないためにもおくすり手帳は1冊にまとめることは非常に大切」とした上で、「自己判断で飲むのをやめてしまったりせず、気になることがあれば主治医に相談してください」と呼びかけました。
講演の最後は、康生会武田病院脳神経外科の山名則和特任部長が「脳卒中に対する低侵襲手術」と題して講演しました。神経内視鏡を用いた低侵襲手術を紹介し、開頭手術に比べると低侵襲手術は約3分の1の時間でできる。脳卒中は時間が経つごとにリスクが高くなる病気なので、患者さんに負担がかからず、スピーディーに治療ができる血管内治療は、これからますます発達していく」と脳外科手術の未来に期待をこめていました。
インターバルを挟んで第3部は、康生会武田病院脳卒中センターの滝和郎センター長が司会を務め、講演者、座長を務められた先生方と一緒に「脳卒中にならないために」と題してシンポジウムを行いました。シンポジウムは参加者から事前に寄せられた質問や会場からの質問に登壇者が回答する形式で進められ、「血圧が少し高めなのでその対策について教えてほしい」や「無症状の段階で、予防検査等受けたいがドックに入るべきかどうか」といった質問に対して先生方が丁寧に回答すると、参加された皆さんは真剣な表情でメモをとっておられました。