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すこやか健康相談 宇治武田病院 肝臓内科 部長 小畑 達郎 「ウイルス肝炎について」

2017/07/12 インフォメーション 武田病院グループ

※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


ウイルス肝炎について



宇治武田病院 肝臓内科 部長 小畑 達郎



ウイルス肝炎の治療はどう治療するのですか?

ウイルス肝炎を起こすウイルスはA型からE型まで、5種類存在しますが、このうち慢性肝炎→肝硬変→肝癌へと進展する主な肝炎ウイルスはB型肝炎とC型肝炎です。これらの肝炎をどう治すかについて説明します。どちらのウイルスも放置すると肝硬変・肝癌すなわち肝不全死か肝癌死(以上をまとめて肝疾患関連死,と呼びます)してしまう確率が高くなります。この確率を下げることが治療の目標です。

ではまず、B型肝炎の治療方法について教えて下さい。

B型肝炎患者の多数は自然経過で肝炎が沈静化し、肝臓病で寿命を短くする事は多くありません。治療が必要かどうかは血中のウイルス量やB型肝炎ウイルスの遺伝子型、HBs抗原量などで決まりますので、これらのデータを詳しく調べてもらえる肝臓専門医に一度かかられることをお勧めします。治療に必要な薬剤はインターフェロンという注射薬か、核酸アナログ製剤という経口薬です。これらを使って①血中HBV-DNAを陰性化させる、②血中HBs抗原量を低下・陰性化させることが治療の指標となります。残念ながら現在B型肝炎ウイルスを完全に人体から除去することは出来ず、制御して肝疾患関連死を減らすことが治療目標になります。

続いて、C型肝炎の治療について教えて下さい。

C型肝炎が慢性化すると,自然に軽快することは殆どありません。したがってC型肝炎ウイルスが体内に存在する人であれば、原則として全員が治療対象になります。治療に必要な薬剤はDAA(直接的抗ウイルス治療薬)と呼ばれるもので、現在約15種類ほど存在します。ウイルスの遺伝子型や、その方が既に自然に発生した薬剤耐性ウイルスを持っているかによって治療薬が変わってきますので、やはり一度肝臓専門医にかかられた方が良いでしょう。これらの治療薬を8-12週間服用することにより、C型肝炎ウイルスを完全に排除することができます。仮に肝硬変まで病期が進展していても、多くの場合正常な肝臓まで復元できるとされています。C型肝炎の場合、ウイルスを排除して肝疾患関連死を減らすことが治療目標になります。

ウイルス肝炎を治療すると、肝癌や肝不全で死ぬことが無くなるのですか?

残念ながら、C型肝炎が直った後でも、B型肝炎を十分コントロールできている場合でも、肝不全死はZeroに近くなりますが、肝癌の発生は完全には抑えられません。厚労省研究班のデータによると、C型肝炎ウイルスが駆除された後の肝癌発生率は以前の1/2程度に減少するだけなのです。ですから治療する前同様の間隔で画像検査を続け、肝癌発生を監視し続ける必要があります.