京都新聞朝刊 医療のページ 宇治武田病院 副院長 宮嶋 敬 「過敏性腸症候群」
2017/02/23 インフォメーション 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
過敏性腸症候群
検便で調べ軽症なら様子見も
宇治武田病院 副院長 宮嶋 敬
過敏性腸症候群とは
全ての病気は、器質的疾患と機能的疾患のどちらかに当てはまります。大腸で考えると、器質的とは内視鏡で見たら発見できるポリープやがんなどの疾患です。機能的とは大腸の蠕動(ぜんどう)運動のバランスの乱れによって起こる疾患で、過敏性腸症候群はこちらに該当します。症状が出ているにもかかわらず、病変が何も見つからない状態です。これが胃で起これば機能性ディスペプシア、大腸で起これば過敏性腸症候群と使い分けます。
原因と症状は。
一般的にはストレスが原因だといわれていますが、人によってストレスの受け止め方は違うので基準となるものはありません。症状は腹痛や腹部膨満感で、男性は下痢型、女性は便秘型が多くみられます。便秘と下痢を繰り返す症状もあり、年齢性別問わず誰でもなる可能性があります。
診断と治療について。
最も簡単な検査方法は検便で、便潜血反応で便に血が混じっていないかを調べます。過敏性腸症候群の診断は便潜血反応に異常がないということが大前提になります。高齢の方の場合は大腸の内視鏡検査で、がんがないかを調べます。このように、一般的な検査を行って他に原因となる疾患がないかを調べ、消去法で過敏性腸症候群と診断することが多いです。治療は過敏性腸症候群と診断をつけた方全員に施すわけではなく、患者さんと相談しながら進めていきます。軽症の方は様子見で終わることもあります。薬は保険適用のものがいくつかあり、下痢にも便秘にも効くタイプ、下痢だけに効くタイプ、整腸剤などの組み合わせです。健診をあまり受けず、いつも市販薬を飲んでその場の症状を落ち着かせている方は、一度受診されることをお勧めします。