「地域医療連携CAD・PAD学術講演会2019」を開催しました
2019/02/19 インフォメーション 武田病院
「さらなる連携で地域住民により良い医療の提供を」
武田病院グループと地域の開業医の先生とで、循環器領域の最新知見について研修する「地域医療連携CAD・PAD学術講演会2019」(康生会武田病院、下京医師会、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社、第一三共株式会社・共催)が2月2日にTKP京都駅前カンファレンスセンターで開催されました。
当日は京都市内の開業医の先生ら医療関係者42名が出席。登壇者の発表内容に驚きの声をあげつつも、次々と鋭い質問を飛ばすなど、非常に有意義な意見交換の場となりました。
開会にあたり康生会武田病院の武田純院長は、自身の専門分野である糖尿病治療と冠動脈疾患(CAD)・末梢動脈疾患(PAD)との関係について触れながら、「一医師としてしっかりと勉強したく思います。
本日は地域医療を益々深める、今年の第一歩となります。活発なご議論をお願いします」と挨拶しました。
挨拶後は、康生会武田病院循環器センターの木下法之部長が登壇し、「CADの最新の話題」と題する基調講演が行われました。
木下部長は、これまでのPCIの歴史を振り返りながら「現在は第3世代のステントとされるもので非常に薄く性能がいい。
このSynergyステントはプラチナ合金製で、血管に触れる面にしか薬を塗っておらず血液に溶出しません」と血栓症・再狭窄の抑制に秀でたものとして効果があることを紹介しました。
また、穿刺部位について、手の親指の付け根、橈骨(とうこつ)動脈を使ったカテーテル治療「PPAP(princeps pollicis artery procedure)」が非常に低侵襲であることを説明しました。
続いて特別講演Ⅰに移り、くろやなぎ・いいだ医院の畔柳彰院長が座長を務め、康生会武田病院不整脈治療センターの垣田謙医長が「内視鏡レーザーバルーンアブレーションの実際」と題し講演しました。
垣田医長は、心房細動の効果的な治療法としてアブレーションを取り上げつつも、術者によって治療成績にかなりの差が発生していることをデータで指摘。安全に肺静脈を隔離し、再発を防ぐことが命題であることを説明しました。
その有効なデバイスとして、内視鏡レーザーバルーンアブレーションを取り上げ、「内視鏡で確認しながら術式ができる」「厚みなど部位にあわせてエネルギーを調整できる」「バルーンが柔らかいので、色々な形の肺静脈にフィットできる」といったメリットを説明。
「30度ずつの照射を重ねながら行うので、安全で効率的な肺静脈隔離となります」と、今後の成績が非常に注目されていることを話しました。
特別講演Ⅱでは、循環器内科・内科 まつばらクリニックの松原欣也院長が座長を務め、京都府立医科大学循環器内科学の全完講師が「PADにおける最新の話題」と題し講演しました。
全講師は、腸骨動脈領域、大腿膝窩、下腿動脈の3つについて、それぞれ最新知見を紹介。
なかでも、ノンステントゾーンとされる大腿膝窩でのステント使用について、フラクチャー(破断)せず好成績であり、最近になってこれを裏付ける発表があったことを明らかにすると、会場から大きなどよめきが沸きました。
講演後もこのデータについての質問が続き、「7~8例対応したが全例通しています。フラクチャーも全くしない。これからストラテジーも変わってくると思う」と全講師は答え、「大腿膝窩は難しいものがありますが、何回も手術すればいいという考えは持っていません。できれば1回で終わらせ、もう入院させたくないです」とのスタンスを強調しました。
閉会挨拶で下京西部医師会の前田康秀副会長は、講演のポイントを振り返りながら、「本日ご紹介したCAD・PADについて、該当する高齢の患者さんが益々増えていくことと思うが、こうした先生方がこの地域におられることを頼もしく思います。
今後は、さらなる医療連携によって地域の住民の方により良い医療を提供できるよう、開業医、病院の先生方とともに手と手を取り合っていきたい」と締め括りました。