ナーシングメッセージ

形あるものを残したい 新婦の願いにこたえた新郎(患者さん)の想い

当院緩和ケア病棟ではがん末期であるM氏とその奥様との結婚記念写真撮影を行いました。 M氏(50歳代男性)ががんと診断されたのは3年前のことです。その後、症状が進行し、M氏は疼痛コントロールのため当院に来られました。次第にM氏の病状は進んでしまいます。

奥様(F氏)は、やがて訪れてしまう別離の前に、『何か形のあるものを残したい』と、 写真館で結婚記念撮影をすることを思い立ちました。長年連れ添われたお二人ですが、結婚式は挙げておられなかったのです。 私たち病院スタッフもお二人を全霊で応援していたのですが、思った以上にがんの進行は早く、M氏は外出するのも困難な状態とな ってしまいました。それでもなんとか願いを叶えたいと、私たち病院スタッフ、そして写真館の方がお二人と一緒に相談し、当院の中で出張撮影を行うことを決めました。

そこからは急いで式典の準備です。
新郎入場時の選曲や花束贈呈のリハーサル、撮影前日には部屋の飾りつけも行いました。何より大切なのはM氏のコンディションです。少しでも良い状態で当日にのぞめるよう、お薬の調整が行われました。
そして迎えた当日、M氏は少し照れた表情を浮かべながら車椅子で入場されます。白いウィデングドレスに身を包んだ新婦の奥様は、 目にたくさんの涙を浮かべながらM氏を笑顔で迎えました。会場ではサプライズで看護師によるピアノの生演奏が流れ、その場にいた 誰もが胸の熱くなる暖かいひとときを感じました。 そして5日後、素敵な結婚写真を胸にM氏は穏やかに旅立たれました。

「形あるものを残したい」と願った奥様。その願いにこたえられたM氏。このお二人のお手伝いが出来たことに感謝し、心よりご冥福をお祈りいたします。


稲荷山武田病院 緩和ケア病棟 看護師
平田 優子

 

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