長い間透析をされているAさんは全身状態が悪化し、透析を離脱後寝たきりとなっていました。ウトウトとされることも多くなり、かろうじて会話ができ意思疎通ができるという状態でした。
そんな中、病棟のレクリエーションで大正琴のコンサートが開催され、A さんに参加されてはどうかと声をかけると、頷いて「行きたい」との答えが返ってきました。ベッドのままコンサートの行われる食堂におつれすると、大正琴の演奏に合わせて患者さん達が懐かしい歌を歌う中、Aさんも小さな声で歌い始められました。「この歌よう知っとる。」と言いながら何曲も、時には涙を流しながら歌われたAさんと一緒に私達も歌いました。病室に帰る時に「楽しかった」と、小さな声でおっしゃったAさんは2日後に亡くなられました。

人生の最期を迎える患者さんに少しでも心地よい時間を過ごしていただきたいという思いを、これからも大切にしていきたいと思っています。