2025/03/03お知らせ
選択的脊髄後根切断術(SDR)を京都で初めて実施しました
脳性麻痺の児童を救う
子どもたちを笑顔にしたい
当院では、「治せる小児を救い、笑顔にしたい」という思いから、2024年9月より、脳性麻痺児の選択的脊髄後根切断術(SDR)を実施しました。SDRは20年程前から世界標準とされる治療ですが、日本では実施数・実施施設が非常に少なく、京都で初の試みとなりました。
SDRとは
脳性麻痺は、出生前や周産期に何らかの原因で生じた脳への損傷によって引き起こされる運動または姿勢に異常が生じた状態をいいます。特に、筋肉の緊張を制御することが難しく、さまざまな刺激で緊張が絶えず、つま先立ちで上手に歩けず、やがて足関節が拘縮して膝関節や股関節が曲がったままになり、股関節が脱臼してしまうこともあるのです。
こういった異常な興奮が伝わる神経のルートだけを選択してカットすることで緊張状態を解除することができる手術が選択的脊髄後根切断術(SDR)です。脊髄から伸びる神経をまず背中側の感覚神経とお腹側の運動神経に分け、感覚神経をさらに神経根細糸レベルに細分化し、これに一本一本電気刺激を与えて異常な神経ルートを調べます。誘発筋電図で異常な波形が出るものをターゲットとし、その波形を確認する臨床検査技師や手術中に筋緊張の程度を確認する理学療法士と協働して行います。
写真提供:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 金城先生
術後は筋緊張が解け、足関節がやわらかくなって踵が地面に着くようになります。約6カ月間の集中リハビリテーションで踵をついて歩く学習を行います。
写真提供:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 金城先生
手術適応について
SDRの推奨年齢はおおよそ10歳以下の小児で、6歳未満がベストとされています。成長すると筋骨がしっかりするため、手術の難易度は高くなります。さらには感覚障害も発生しやすくなり、歩行の学習も長時間を要するようになります。ただ近年、13歳の手術が2例行われており、経過によっては将来、適応年齢が広がる可能性も感じているところです。
患者さんの回復に全力を注ぐとともに、全員のスキルアップ、人員体制の強化にも全力を注ぎます。治療を受けた子どもさんや親御さんの感謝の声と笑顔を力に、院内外の協力を得ながら日々努力していきます。 院長 金 郁喆 |
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