たけだ通信 No.122

武田病院グループが発行する情報誌です。 グループの活動報告や各施設からのインフォメーションの他、インタビューや健康に関する記事等、充実の内容です。


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が、不思議なことにこの『感覚』は世代を超えても受け継がれているようで、同種の問題が繰り返されています。とくに今の若い世代は効率の良さを理想とする傾向が見受けられ、従来の一見効率が悪く大変な労力がかかろうとも、医師としての最大値を高めようとするあり方とは大きく乖離しているようです。かいりそうした理想の差がどれだけあったとしても、決して互いに相手を否定せず、そこに至る過程をどのように思い描いているのかを理解することが重要と思います。マンパワー不足をいかに解消するかが大きな課題となっているなか、お互いの共感なしには良いサービス提供や良い職場環境になるとは思えません。もろまた、医療ニーズと実際の提供力との差にも大きな懸念があります。救急救命や感染症など、求められる医療ニーズは増大し続けているのですが、これに対応する医療提供体制は大変、脆くなっています。その医師がキャパオーバーであるにも関わらず、患者さんに対応せざるを得ない状況とならないよう、医療機関が努力することは当然として、業界団体、行政、そして地域の皆さんにも協力をお願いしたいと思います。これまでを振り返ってみても、制度変更と患者さんが医療機関に求める理想には常に大きなギャップがあり、できるだけ摩擦を生じさせないよう現場の医師・スタッフに大きな負荷がかかっていました。今回も、医師を守るための制度変更が、かえって苦しめてしまうことのないよう願います。少子高齢化の進行で、さらにマンパワー不足となることが予想されるなか、継続的な医療提供の維持のため、皆さんにも守り手の一人となっていただければと思います。私が考える『共感』は、相手を理解することだけに留まりません。自身の思いを知ってもらうことも含んでおり、お互いの理解があってこそ『共感』だと考えています。そもそも医師は職人志向が強く、口下手な方が少なくありません。自身の理想や、医師として感じた魅力を伝えることが不足しているようにも感じます。私自身の思いは、患者さんや当グループで働いていただいている様々な方からいただいた思いから、グループの経営理念である「思いやりの心」に行きつきました。より良い未来へと向かうため、皆さんからも、どのような思いを抱いているかを聞かせていただければと思います。05122TAKEDA


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