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武田病院グループ会長武田隆男TAKEDA12204より良い未来に向かうため思いを感じ、思いを伝える日本の医療は医師の長時間労働に支えられている。これは2024年4月から実施される「医師の働き方改革」で冒頭に語られる言葉です。実際、医師の長時間労働は様々な職種のなかでも抜きん出ており、『時間外労働を最大で年間1860時間に抑える』ためにどうするかが議論されるほどとなっています。過労死の認定ラインが年間960時間ですので、それがどれほどのものかご理解いただけると思います。それなら医師1人あたりの労働時間を減らして、数でカバーすれば良いだろうと思われるかも知れません。実のところ、これこそ正解だと思うのですが、医師数が全く足りないため、現時点では実現できないのです。このため、医師が担っている業務を切り分けて可能なものは他の職種が補うなど、タスクシフト・タスクシェアなどの様々な取り組みによって、業務量の軽減・適正化が進められています。こうした法制度や具体的な仕組みが整備される一方で、大きな懸念となるのが業界の常識や固定観念です。例えば、「これぐらい自分達の時代は当たり前だった」「そんなことでは一人前にはなれない」といった『感覚』です。時代とともに、社会も個々の価値観も大きく変わっている筈なのです