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Iru miru 健康通信 山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一「ヒートショックの予防ー冬、安全に入浴を楽しむために」

2025/02/21 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


tamakidr_01.jpgのサムネイル画像山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一
「ヒートショックの予防
  -冬、安全に入浴を楽しむために

 冬場などに「元気だった方が浴室やトイレで亡くなっていた」という話をきいたことがありませんか?それは「ヒートショック」によるものだったかもしれません。

 

 人間の体は、体温が上がると血管が拡張して血圧が低下し、体温が下がると血管が収縮して血圧が上昇します。ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し、失神や不整脈、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす健康被害のことです。特に冬場(12月から3月)や入浴時は起こりやすく、溺死や急死につながることがあります。ある統計によると、浴槽での水死者数は同年の交通事故死者の2.3倍に上るとの報告もあります。生理機能が低下する高齢者や、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの血管機能が低下する生活習慣病の方では起こりやすいといわれています。

 ヒートショックに気を付けながら、入浴を楽しむにはどうしたらよいのでしょうか?

①脱衣所、浴室の寒暖差を少なくする(脱衣所に暖房器具を設置する、お風呂のふたを開けたり 、シャワーの蒸気で浴室を暖める、浴室の断熱改修、すのこやマット、2番風呂にするなど)
②かけ湯をしてから入る
③湯温は41度以下に設定し、湯につかる時間は10分までを目安に
④食事や飲酒の直後は入浴を控える
⑤精神安定剤、睡眠薬服用後は注意
⑥入浴前にコップ1杯の水分をとる
⑦同居家族がいれば、声掛けをする
⑧浴槽から立ち上がるときは、つかまって、ゆっくりと
⑨体調が悪いときは控える

など、できることから実行してみましょう。浴槽の中で気を失っていたら、まず浴槽の湯を抜いて、可能なら浴槽から引き上げ、救急車を呼んでください。脈や呼吸が確認できなければ、心臓マッサージや人工呼吸など応急処置をできるだけ続けてください。入浴時のほか、冷え切った冬のトイレも気を付けなければいけない場所です。また、若い方も自分は大丈夫だと思わず注意してください。

 まだ寒い冬、ヒートショックに注意して安全にお風呂を楽しみたいものです。