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Iru miru 健康通信 たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世「レイノー現象」

2024/12/20 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


irumiru_mimoridr.jpgたけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世
「レイノー現象」

 どんな症状?

 レイノー現象(レイノー症状)は、寒冷刺激や精神的緊張で誘発される血管攣縮(れんしゅく)による一過性の手指の皮膚の色調変化で、蒼白化(虚血)、紫色(チアノーゼ)、発赤(反応性充血)の順に指先の色が変化する症状です。指先の冷感、しびれ感、疼痛、知覚脱失なども訴え、数分から数十分続いて元に戻ります。足趾、耳、鼻、舌、口唇にもまれに起こることがあります。本症状はさまざまな全身疾患に合併することが多いため、レイノー現象を見た場合には、症状を的確に把握し、基礎疾患を見つけ出すことが重要です。

 どんな病気にみられる?

 基礎疾患がない場合はレイノー病と呼ばれますが、経過を観察するうちに隠れた病気が明らかになることもあります。レイノー現象を訴える患者の多くは膠原病を合併します。その中でも特に多いのが、全身性強皮症と混合性結合組織病です。全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群でもしばしば認められます。閉塞性動脈硬化症、バージャー病、高安動脈炎などの動脈を閉塞する病気もレイノー現象の原疾患となりますが、頻度は低いと考えらます。チェーンソーなどの振動工具を扱う労働者にみられることがあり、また、降圧薬のβブロッカー、麦角アルカロイド、ある種の抗がん剤(ブレオマイシン、シスプラチンなど)の副作用として認められることがまれにあります。

 治療は?

 保温が一番の予防法です。冷水の使用を避け、外出時に手袋やカイロを着用します。喫煙は血管を収縮させるので禁煙が大変重要です。レイノー現象だけでは積極的な治療は通常は必要ありませんが、頻発したり長時間続く場合は皮膚潰瘍の原因となるため、血管拡張薬(ビタミンE製剤、プロスタグランディン製剤、カルシウム拮抗薬)、抗血小板薬を用います。症状を完全に抑えることはできませんが、頻度を減らし持続時間を短縮する効果があります。難治性の皮膚潰瘍をきたす場合はプロスタグランディン製剤の点滴を行います。疑わしい症状があれば専門医にご相談ください。