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京都新聞朝刊 医療のページ 十条武田リハビリテーション病院 リハビリテーション科副部長 相井 誠次郎「嚥下障害」

2024/11/01 メディア 武田病院グループ

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

iryo10_aiidr.jpg嚥下障害」 食事の形態や姿勢の工夫を

十条武田リハビリテーション病院 リハビリテーション科副部長 相井 誠次郎

 

嚥下(えんげ)障害とは。

食べ物や飲み物を飲み込む際に何らかの障害が生じるのが嚥下障害です。主な原因として、脳卒中、パーキンソン病などの神経筋疾患が挙げられます。加齢によって筋肉量減少、筋力低下が生じるサルコペニアも一因となります。嚥下障害では、食べ物を飲み込みにくくなり、食事中にむせたり咳(せき)が出たりするようになります。その結果、食事に時間がかかり、摂食量が低下して、体重減少につながることがあります。本人が自覚できない場合もあり、周囲の方が兆候に気付くことも重要です。 診断には、鼻からカメラを入れる嚥下内視鏡検査やバリウム入りの検査食を用いた嚥下造影検査を行います。

病院や介護現場の対応は。

嚥下障害の最大の問題は、誤嚥(ごえん)や窒息を生じる恐れがあることです。誤嚥とは飲食物や唾液が誤って気管に入ることをいいます。誤嚥すると誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。誤嚥を予防するためには、嚥下機能に合わせて、姿勢や食事形態の調整を行います。背もたれの角度や首の向きを変えることで問題なく食べられるようになるケースも多くみられます。水は特に誤嚥しやすいため、水分や汁物にはとろみ付けをします。食べ物は軟らかく加熱したり、嚥下障害が重度な場合、ミキサーにかけてペースト状にしたりします。

リハビリの進め方は。

専門のスタッフである言語聴覚士がリハビリを担当します。姿勢や食事形態の調整、のどの筋力を強化する訓練などを行います。リハビリを通して、ペースト状の食事から形のある食事へと段階的に食事形態をあげていきます。食べること自体もリハビリになります。誤嚥性肺炎を予防するためには口腔ケアも重要です。リハビリによる身体機能の強化も嚥下機能の改善につながります。