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Iru miru 健康通信 たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世「リウマチ性多発筋痛症(PMR)」

2024/09/27 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


irumiru_mimoridr.jpgたけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世
「リウマチ性多発筋痛症(PMR)」

 リウマチ性多発筋痛症って?

 リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、高齢者に発症する肩や大腿などの強い痛みとこわばりを主症状とする原因不明の炎症性疾患です。人口の高齢化に伴って近年我が国でも増えており、高齢者のリウマチ性疾患の1つとして無視することのできない病気です。少量のステロイドによって劇的に症状が改善し、また時に巨細胞性動脈炎の合併があるため、早期診断と早期治療が重要です。
 大部分は60歳以上で女性にやや多く、比較的急激に発症する項頸部、肩、上腕、大腿、腰背部などの躯幹に近い筋肉の痛みが主な症状です。朝起床時のこわばり感が強く、関節痛、微熱、体重減少、倦怠感を伴うこともあります。

 診断は?

 まずPMRという病気の認識が大切であり、疑いさえすれば診断はさほど困難ではありません。しかし、PMRの症状と検査所見は特異的ではなく、他の病気でも見られるため、高齢発症関節リウマチなどの病気との区別が難しいこともあります。検査ではCRPや赤沈など炎症反応の高値を認めます。リウマトイド因子や抗核抗体は通常は陰性であり、多発性筋炎のような筋肉由来の酵素の上昇は認められません。
 PMRに巨細胞性動脈炎を合併することがあり、頭痛や視力障害、食事時の顎の痛み、側頭動脈の腫脹や圧痛を認めるときは要注意です。巨細胞性動脈炎の診断には側頭動脈エコー検査や浅側頭動脈の生検が必要です。

 どんな治療なの?

 PMRには少量のステロイド(グルココルチコイドGC)が奏功し、その効果によって診断が確定します。プレドニゾロン1日10-15mgを用い、効果を確認できればゆっくり減量していきます。この時減量のスピードが速いと再燃することが多いので注意が必要です。GCをなかなか減らせない時は、抗リウマチ薬であるメトトレキサート(週1回内服)やトシリズマブ(2週に1回皮下注射)の併用が有効な場合があります。
 高齢の方で原因不明の筋肉痛と朝の体のこわばりが続く場合にはPMRを疑って専門医を受診されることをお勧めします。