Iru miru 健康通信 武田総合病院 血液病センター センター長 中坊 幸晴「貧血」
2024/07/26 メディア 武田病院グループ
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
武田総合病院 血液病センター センター長 中坊 幸晴
「貧血」
貧血はどんな病気ですか?
血液の中の酸素を運ぶHb(ヘモグロビン)が低下した状態でWHO(世界保健機関)によりますと男性でHb13g/dL以下、女性でHb12g/dL以下とされています。
どのような症状が出ますか?
低酸素症状として疲れやすい、息切れ、めまい、頭痛やこれを代償するため、動悸、頻脈などの症状が起こりやすくなります。また、周りの方から見て顔色が悪いように見えます。
どんな疾患がありますか?
いろいろな疾患がありますが、鉄欠乏性貧血が最も多いです。ほかに胃全摘を受けたり、萎縮性胃炎などでビタミンB12が欠乏したり、またアルコール依存・低栄養などで葉酸が欠乏しますと、巨赤芽球性貧血になることもあります。変わったところでは、自己の赤血球を破壊する自己免疫性溶血性貧血という病気があります。稀ではありますが、急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など造血器悪性腫瘍でも貧血になります。
鉄欠乏性貧血の原因は?
鉄欠乏性貧血を起こすには、通常何らかの原因があります。偏食で鉄分が十分摂れていない場合や、女性では生理が多かったり、子宮筋腫がありますと鉄欠乏性貧血になりやすいです。また、胃潰瘍、胃がん、大腸がん、痔など、消化管から慢性的に出血して鉄欠乏性貧血になることもあります。鉄欠乏貧血を診た時、原因を確かめることが重要になります。
予防、対処法はありますか?
バランスのよい食事を心がけ、アルコールも飲みすぎにならないように適度な飲酒にしてください。医療機関を受診していない方は出来るだけ検診を受けましょう。また、貧血と思われる症状がありましたら、是非当院を含めて医療機関を受診してください。稀に造血器悪性腫瘍が見つかることがあります。近年、その治療も進歩しています。早期診断・早期治療で予後(病気の治りやすさ)が改善します。