武田病院グループ年報 2023 第35巻
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1 令和5年9月 日増しに空が高くなり、爽やかな季節の到来を感じます。新型コロナウイルス感染症は今年5月に2類相当から5類へと移行し、社会は大きく変化しました。経済活動は活性化し、目に見えて明るくなったようです。もちろん感染症が無くなった訳ではありませんので、5類移行後、新型コロナウイルス感染症の新規入院患者数は増加しています。こうした状況に加えインフルエンザの流行で、現場はふたたび逼迫した状況となってきています。感染予防の意識は病院の内と外で大きく乖離するなか、スタッフは懸命に予防・治療に勤しんでいます。国民の皆さんは医療者の努力を知っていただき、出来るだけ感染予防に努めていただきたいと思います。 医療界は様々な課題で溢れています。直近では2024年4月から運用される「医師の働き方改革」への対応、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応、増加する救急医療需要への対応、そして医療保険制度改革や診療報酬改定への対応もあります。「ややもすると近視眼的な見直しを繰り返し、却って制度疲労を起こしている」とは2015年にまとめられた「保健医療2035」に記される言葉です。今も変わらないとの声もあると思いますが、大きく変わってきたと感じるものもあります。 それは、この提言で示される、疾病の治癒と生命維持を主目的とする「キュア中心」から、身体的のみならず精神的・社会的な意味も含めた健康を保つことを目指す「ケア中心」へ、サービスや制度が細分化・専門化する「発散」から、相互連携し切れ目のない対応を行う「統合」へ、というパラダイムシフトです。 まさに当グループが掲げる経営理念「思いやりのこころ」に通じるもので、患者さんを中心に専門職・地域が連携し支え合う今日の医療・介護・福祉のあり方です。今後も当グループは多くの課題に向き合い、目の前の患者さん、ご家族、地域に、より一層質が高く安全で安心な医療・介護・福祉サービスをご提供できるよう努めてまいります。 こうした活動を「令和5年(2023年)武田病院グループ年報」としてまとめさせていただきましたので、ご高覧いただければ幸いです。地域の関係機関の皆さんにおかれましては、引き続き、ご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。巻  頭  言武田病院グループ 理事長

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