02.尿路結石症の治療法

Q.治療方針はどうやって決まるの?

患者さんに結石治療の話をすると、

「痛みがあるのに手術は要らないの?」

「痛みがないのに手術必要なの?」

とよく質問されます。

実は、症状だけで結石の重症度が決まるわけではありません

症状(痛み)があっても、小さい結石では自然に排出することがあり、一方で、症状がなくても、大きな結石では長期に尿路が閉塞することで腎機能が低下するため、治療が必要となります。従って、結石の治療方針は、症状に加えて、結石の大きさ硬さを総合的に判断し、決定します。

尿路結石症の基本方針
結石大きさ 5mm以下 5-10mm 10-20mm 20mm以上
症状 なし あり なし あり 関係なく 関係なく
治療 経過観察
薬物治療
手術 体外衝撃波
内視鏡手術
ロボット手術
備考 硬い結石

内視鏡

優先

硬い結石

内視鏡

優先

ロボット手術

腎盂形成術

必要時のみ

Q.実際の治療は?

●経過観察

小さな結石で症状がないときは、体に悪影響はありませんので経過観察のみで十分です。結石が大きくならないように、水分をよく摂取することを中心とした生活指導を行った上で、定期的に外来で画像検査を受けていただきます。

●薬物治療
小さな結石で痛みなどの症状があるときは、薬物治療を行います。まず痛みを抑える鎮痛薬を投与した上で、結石が尿と共に流れて排出することを促す薬を投与します。現在、前立腺肥大症で尿の勢いを改善する効果を持つ「α遮断薬」というものがあります。その薬は尿管を拡張させ、結石の排出を促す効果もあることが知られています。従って、結石排出目的にはα遮断薬を中心とした投薬を行っています。

●手術

体外衝撃波

体外から腎や尿管の結石に対して、衝撃波を当てることで、結石を砕く治療法です。破砕後に水分を十分とって、結石を尿と共に排出させる努力は必要ですが、麻酔が不要で外来でも行うことができるのがメリットです。

内視鏡治療

①経尿道的手術

尿道から膀胱を経て腎尿管へと、尿の通り道を逆にたどっていき、結石を内視鏡で確認の上で直接砕いて摘出する方法です。入院の上で麻酔も必要ですが、結石を十分取り除くことが可能なメリットがあります。

②経皮的手術

背中の皮膚から腎臓に直接穴をあけて、トンネルを作成します。その経路から内視鏡を体内に入れて、結石を砕いて摘出する方法です。大きな結石でも行えるメリットがあります。

ロボット手術

腎に尿が溜まる水腎症となり、腎盂形成術が必要となる患者さんで、時々尿路結石を認める方がおられます。このような症例では腎盂形成術の際に結石を摘出する腎盂切石術を同時に行います。

次回は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)について、

詳しくお話いたします。