2020/02/25
第59回 医療法人医仁会武田総合病院 特別講演会
複数領域の最新の知見を共有し
活発な情報交換を行いました
特徴的な症例の検討や最新知見の情報共有を目的とした第59回「特別講演会」(共催:医仁会武田総合病院、伏見医師会、第一三共株式会社)が2月20日、京都市中京区の京都ホテルオークラで開かれました。今回のテーマは小児のALL、心臓血管外科領域、脳神経外科領域の3題です。当日は、南部地域の開業医・医療従事者など多くの参加者が集まり、次々と質問を投げかける貴重な情報交換の場となりました。
司会:川上光一主任部長(医仁会放射線科) 三森経世院長
冒頭挨拶に立った医仁会武田総合病院の三森経世院長は、「大変多くの先生方にお集まり頂き感謝申し上げます。非常に熱心な思いのところ申し訳ありませんが、新型コロナウイルスを考慮して講演会後の情報交換会は中止することになりました」と説明。そして演題の詳細を説明しながら、闊達な議論となるよう会場に協力を求めました。
演題発表1では、伏見医師会(もり小児科クリニック)の森啓之先生が座長を務められ、当院小児科の甲原貴子医長が「血球減少を契機に診断した急性リンパ性白血病の一例」と題し講演しました。
甲原医長は、小児のALL(急性リンパ性白血病)の発症数に触れながら「決して稀ではなく、様々な主訴で受診する可能性がある」と説明。3歳男児の症例での2系統の血球異常を取り上げながら、「ALLを少しでも疑った場合は、積極的な問診、血液検査、紹介が必要」であるとし、見逃すことのない意識づけと病診連携の重要性を強調しました。
甲原貴子医長(医仁会小児科) 森啓之院長(もり小児科クリニック/伏見医師会)
続く演題発表2では、宇治久世医師会(かどさか内科クリニック)の門阪庄三先生が座長を務められ、当院心臓血管外科の三重野繁敏部長が「大動脈弓部領域における開胸人工血管置換と大動脈ステントグラフト内挿術のハイブリット治療の現況」と題し講演しました。
三重野部長は2011年に自身が実施した肋間開胸人工血管置換術を取り上げ、術式として片肺換気、心筋保護、選択的脳灌流などの問題点があると指摘。ステントグラフト内挿術を併用することでこれらを解決できるとし、術式の詳細を多数の動画を交えながら解説しました。
三重野繁敏部長(医仁会心臓血管外科) 門阪庄三院長(かどさか内科クリニック/宇治久世医師会)
特別講演では、当院の川西昌浩副院長(脳神経外科)が座長を務め、大阪医科大学の鰐渕昌彦教授が登壇。「脳神経外科の最前線 ~てんかんを含めて~」と題し講演しました。
鰐渕教授は、ニューロナビゲーション、ステントリトリーバーなど多数の最新デバイスとその効果について説明。さらに大阪医科大学で取り組んでいるホウ素中性子捕捉療法についても詳しく解説しました。
質疑応答では、「新しいデバイスのガイドラインへの対応」や「医師との連携」などについて会場から鋭い質問が出され、鰐渕教授や川西副院長が対応。さらに鰐渕教授は脳梗塞での医師間の連携について、「ファーストタッチが誰であれ、大学の救急部門を経ずに直接、我々脳血管内治療チームに伝わるホットラインを築いています」と大阪医科大学での取り組みを紹介しました。
鰐渕昌彦教授(大阪医科大学) 川西昌浩副院長(医仁会脳神経外科)
閉会挨拶では、武田病院グループの武田道子副理事長が登壇しこの特別講演会が30年間続いていることについて謝意を表明。「私たちは地域の皆様の健康のお手伝いをすることが最終ゴールであると考えております。地元の先生方に信頼され、地元の皆様方に選んで頂けるような病院施設をめざします。厳しい時代ではございますが、思いやり気配り心配りを持って、皆さんに満足して頂けるよう努めてまいります」と締めくくりました。
武田道子副理事長(武田病院グループ)