アクセス

救急外来

075-572-6331

急患は24時間受付(内科・外科・循環器内科・脳神経外科・小児科・産婦人科のみ)

たすき掛け研修医 余田先生へのインタビュー

本日は滋賀医科大学のたすき掛けとして当院で1年間研修された余田先生にお越しいただきました。


——余田先生、先生が当院でのたすき掛け研修を選んだ理由は何ですか。

大学が滋賀医大の人が多かったので、初期研修先としては滋賀医大の人があまりいない人が良かったからです。あと、京都出身だったのと、いろんな先輩に聞いて、武田の研修は手技が多くて、それなりに症例もそろっていて、雰囲気も良いよって勧めてもらったことで選びました。

——ところで余田先生は当院には何回、見学に来られたのですか。

ゼロです(笑)。建物の雰囲気だけはちらっと見ました。

——先生の将来の専門領域は何ですか。

小児科です。小さいころから、病児と接触することが多かったので、小児科がいいなって思っていました。

——1年間の当院での臨床研修の経験の中で、どのように変わりましたか。

おじいちゃんやおばあちゃんと話すのも好きかなと思ったのですが、やはり小児科になろうと思いました。

——小児科のローテーション中にはどのようなことを経験したのですか?

川崎病を見させてもらったことや、ローテーション中以外でも部長の岸田先生や甲原(きねはら)先生方に直接いろいろと教えてもらったりしてとてもいいなと思いました。

——研修中に思い出に残った症例はありますか。

気腫性膀胱炎の90代のおばあちゃんが、名前もしっかり覚えていただけるほど毎日お話をしていて、よくなってくれたのをよく覚えています。後、忘れられない方は、総診を回り始めて2日目に受け持った最初にお亡くなりになった方です。主訴は腰痛と蕁麻疹で来たご高齢の患者さんですが、低酸素血症と採血にて炎症所見も高く、CTを撮ると肺炎がありました。

入院日の夜から下肢の麻痺と温痛覚が全く消失し、MRIでは腰椎の脊柱管狭窄症はあったのですが、後頭部から胸椎レベルまで硬膜外血種を認めており、入院翌日からDICも合併しました。血培からはMSSAが陽性で感受性のある抗生剤で治療をしたのですが、入院3日目に意識障害をきたしてICUに転床となりました。

その後は、肺に多発性空洞病変が広がっていき、血培からMSSAもずっと陽性で、いったんは改善しましたが約2週間で呼吸不全が進行してお亡くなりになられました。解剖ができなかったので、結局確定診断には至らなかったのですが、この時期は1年で一番大変な時期だったと思います。

——それはかなり大変な経験をしましたね。周りの先生には助けてもらえましたか?

かなり助けてもらいました。主治医の先生には毎日ディスカッションして、複雑な病態を整理していろいろ理解の手助けをしてもらいました。また、初日の夜にたまたま研修医室にいた循環器の先生に相談したこところ脳外の先生にも相談した方がいいと言われて、一緒に医局の脳外の先生にコンサルトをしていただきました。

次の日も脳外の先生にMRIを朝一で撮る方がいいと言われて、脳外の先生からMRIを朝一に入れていただきました。神経内科の先生にはちょっと良くなった時期にリハビリを一緒に見てもらったり、泌尿器の先生にはICUで一緒に見てもらいました。最後、総診の先生には、亡くなった後で一般的にこの症例から学んでおいた方がいいことを総括として教えてもらえたのでありがたかったです。

——本当にご苦労様でした。その大変な時期を除いたら、普段の研修中は、どのような生活でしたか。

総合診療科のときはカルテを書くのが間に合わなくて、22時頃になることもありました。 総合診療科を除けば、だいたい定時(17時半~18時)に仕事が終わっていることが多かったので、その後は、勉強したり、飲みに行ったり、楽しく1年を過ごすことができました。

——睡眠時間はどのくらいでしたか。

総合診療科の時は、私が夜型なのですが、一番大変な時期は23時に帰って1時頃まで勉強をして2時に寝て、7時に起きるような生活でした。普段は飲みに行かなければ20時ごろには帰って、だらだらしたりして(笑)、24時ごろに寝て、モーニングセミナーなどがあるときは8時に出勤し、無い日は7時半位に起きて8時ごろに来ていました。

——日当直はどの程度でしたか。

日当直は月に5~6回、2月だけ4回、1年で55回日当直入りました。私はあまりひかないタイプだったので、寝れない日は1~2時間睡眠、多くは3~4時間程度、寝れる日は6時間眠っていました。症例は救急車対応としては、6台前後、一番多くて10台くらいでした。2年目の先生の外来見学に行っていたので、救急車が来なくても寝ていない日は結構ありました。

——女医として、当直のしんどさはいかがでしたか。

私は、もともと部活やバイト梯子とかしてて体力がある方なので比較にならないかもしれませんが、普段はそんなにしんどくなかったです。でも、1~2時間しか寝れない日は次の日ちょっとしんどかったです。

——1~2時間しか寝れない日は何回くらいありましたか。また、当直明けは13時で帰れましたか。

月1回くらいですね。当直明けはだいたい13時に帰れますが、カルテ書き等で残っていたことはありました。

——1年間で手技はどの程度できましたか。

CVは12件程度はいれていると思います。当直帯で2~3回、総合診療科で7回程度、麻酔科で私は少ない方で1~2回です。ルンバールは、2件ほどチャンスを頂きました。 胸腔ドレーン挿入は、見学が10回くらいで自分で入れたのは1~2回です。

挿管は、救急で1~2回、当直で1~2回、総診では挿管まではしていません。麻酔科では1日2~3回(4週間で50回程度)くらいです。

——外科的技能については、どの程度自信がつきました。

救急を回った時や外科を回った時に、総部を縫ったり、ステープラーを使ったりしていました。活動性の出血がある場合や若い女性の顔とかでなければ、縫えるかなぁ・・と思います。

——研修について、1年間を振り返ってどうでしたか。

今まで学生から大学での研修しかできなかったので、The市中!みたいな病院でコモンディジーズをいっぱい見れたことや、退院支援やリハビリ、栄養などを患者さんを取り巻く背景のことを考えながら治療をしていくことを経験できたことはよかったと思います。後は、良い同期や先輩・指導医の皆さんに恵まれて本当に良かったです。

——これから病院見学・就職活動を考えている学生さん、また、たすき掛けのプログラムを考えている学生さんらに、研修病院選びのポイントについて何かアドバイスはありますか。

たすき掛けのプログラムを考えている方は、市中で診る症例と大学で診る症例と全然違うと思うので、初期研修の時から外の病院で研修ができるのは大変いい経験になると思います。特に当直でしっかり勉強できたのは大きいと思います。 就職活動としては、6年生の間に見学に行って、1年目の研修医を見てその病院の雰囲気を見ておくことがお勧めです。

研修医の雰囲気は「類は友を呼ぶ」ということで似たような雰囲気の同期が集まると思うので、自分に合うところを選ぶとよいと思います。 後は、見学に行っただけではわからないと思うのですが、医仁会武田総合病院ではローテート中でなくても相談しやすい上の先生がいっぱいいる環境は素晴らしいと思いました。

——本日は大変有難うございました。先生の今後のご活躍を心より期待しておりますね。

お困りごとはありませんか?